たこわさ

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ドラゴンクエスト ダイの大冒険 第9話「ひとかけらの勇気」感想――ダイ達の危機にポップは

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今回の満足度:5点(5点満点中)

(以下、ネタバレ含む)

あらすじ

クロコダインの獣王痛恨撃がダイ達を襲う。
その破壊の渦は、臆病風に吹かれ宿屋にとどまっていたポップの目にも映っていた。

ダイ達のピンチを察しつつも、恐怖に負け動けぬポップ。
そんな彼を叱咤したのは、意外な人物だった――。

小さな勇者、ダイ

小さな勇者、ダイ

  • 発売日: 2020/10/04
  • メディア: Prime Video

感想

前回がやや精彩さを欠いた作画・演出だったのに比べ、今回は実に力が入っているのを感じた。

ポップのちょっとした仕草で、彼の内面に渦巻く恐怖とそれに抗おうとする勇気を表現している点が実に秀逸。
クロコダインと対峙してもなお恐怖と戦うポップの心情が、声優の演技と相まって光っていた。

――ただ、ポップがクロコダインの攻撃を必死に躱すシーンについては、尻を向けて逃げるカットは入れないでほしかった(苦笑)。
原作で一貫して描かれている事だが、ポップは身体は脆弱なものの運動神経は実は悪くなく、魔法使いにしては体術もいける。彼の目は常に敵に向いていること多く、そういった点では残念なアニメオリジナル演出だった。

ポップを導いたまぞっほの言動は、ほぼほぼ原作通り。
旧アニメ版では、アニメオリジナルの台詞が大幅に追加されていた……正直、まぞっほの分を超えた教訓臭い台詞であり、彼のパーソナリティにそぐわないな、と子供心に違和感を覚えた点なので、今回のアニメが原作準拠になっていて一安心。
もちろん、削られてしまった台詞もあるのだが、まぞっほが必要以上に煽る必要もなくポップが立ち上がっていたわけで、尺の都合もあり削ったことは理解出来る。

まぞっほの言葉により心に勇気の灯がともったポップの「アバンのしるし」がキラリと光るオリジナル演出も良かった。
ダイが紋章の力を発揮した時のポップの台詞も原作から少々変えてあり、スタッフのこだわりを感じた。おそらく、ポップが良く知らないレオナを救った件や、(既に知っているとはいえ)アバンの死をマァムの前で語りたくないであろうポップの心情に配慮した物だろう。
こういった細やかな配慮がニクイ。

一点、残念だった点を挙げるならば……「ポップ、足速過ぎない?」問題がそのままだったことか(笑)。
まぞっほの水晶玉に映し出された映像で既にクロコダインがダイに迫っていたのに、ポップが宿屋から王城に辿り着くまで止めを刺していないという原作にも存在した時系列の緩さは、何がしかの理由を付けてもっとつじつま合わせをしてほしかった。


アバンストラッシュvs獣王痛恨撃のぶつかり合いも、「引き」の視点で誤魔化さずにあえて近接カメラワークで迫力を演出していて好印象。
原作の見開き演出へのオマージュを意識した、ダイに迫る痛恨撃→あえてスピード感を殺しゆっくりと痛恨撃を切り裂くダイ→両者交差、という一連のシークエンスも素晴らしい。

最後にガルーダがクロコダインの亡骸を回収するアニオリも含めて、今回は見事の一言だった。