ドラゴンクエストダイの大冒険　第5話「アバンのしるし」感想――アバン、決死の戦いへ挑む

今回の満足度：5点（5点満点中）

（以下、ネタバレ含む）

あらすじ

ハドラーのベギラマ（閃熱呪文）からダイとポップを庇ったアバン。
最早その体はボロボロで魔法力も尽き、勝算はない。

覚悟を決めたアバンは、懐から卒業の証である「アバンのしるし」を取り出し、「仮免」としてダイとポップに託そうとする。
ハドラーは自分が命に代えても倒す、大魔王バーンの打倒は二人に託すと。

アバンが死を覚悟していることを悟ったダイは、自分も戦うと言い出す。
だがアバンは、体を鋼鉄と化しあらゆる呪文を弾く代わりに身動きできなくなる高等防御魔法「アストロン（鋼鉄変化呪文）」をダイ達に施し、アバンのしるしを託すと一人ハドラーへ立ち向かっていく――。

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感想

今回はやけに脚本も演出もよく、スタッフがようやくこなれてきたのか、等と思った。

特に、アバンがダイ達に別れを告げるシーンで、ハドラーがわざわざ目配せして「時間をやる」と言わんばかりの態度を取ったあたりに、原作への限りないリスペクトを感じた。

序盤のハドラーは、はっきり言ってしまえば小物臭が漂う残虐な悪役でしかない。
けれども、それでもどこかに「魔王」だった時の誇りが残っているし、アバンに対してある種の敬意すら抱いている節がある。
原作では展開の速さを重視して最低限描かれたハドラーのそういった複雑な内面が、あのシーンによく表れていたと思う。原作への深い理解がないと描けないくだりだった。

さて、今回ダイの怒りに応じて、例の謎の力が再び登場した。
ハドラー曰く「竜（ドラゴン）の紋章」だが……恐らくはまだ、初見の視聴者には「都合よく主人公の秘めたる力が目覚めた」としか映らない事だろう。

本作にはこういった、「一見するとご都合主義」にしか見えない仕組みがいくつかあるのだが……どうか、ゲンナリしないで続きを見届けてあげて欲しいと思う。
ネタバレになるのであまり言えないが、本作の「ご都合主義」の裏には、きちんと伏線なり理由なりが隠されているので、そういった点を探しながら観るのも一興である、とだけお伝えしておきたい。

次回からはいよいよ、デルムリン島を飛び出しての大冒険が始まる。
右肩上がりに良くなっていっているので、どうかこの調子のまま進んでいってもらいたい。