どろろ 第十七話「問答の巻」感想――闇の中を歩む寿海、百鬼丸と再会す
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
育ての親である寿海と再会した百鬼丸。
寿海は、一部とは言え百鬼丸が生身の体を取り戻したことを知り、久しぶりの喜びにふるえる。
しかし、百鬼丸の口から、彼と醍醐景光、そして鬼神達との凄まじい因縁を知らされた寿海は、再び思い悩んでしまう。
自分は百鬼丸を助けたつもりで、更なる修羅の世界へ引き戻してしまっただけなのでは? と。
一方、国を挙げて百鬼丸を討つ事を決心した景光は、百鬼丸の居場所を探らせていた。
多宝丸も、情けで二度と剣が鈍らぬようにと、人が変わったようになってしまい――。
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感想
寿海本人は、百鬼丸に「おっかちゃん」と呼ばれるまで気付いていなかったようだが、彼が百鬼丸に与えたのは手足だけではない。
どろろにときおり見せる百鬼丸の優しさは、紛れもなく寿海が彼に与えたそれだ。
かつては修羅の道を歩もうとも、誰かに優しさを向ける事は出来、その優しさがまた他の誰かを救うこともある。
百鬼丸がギリギリのところで修羅の道に落ちないのは、どろろと、そして寿海からもらった優しさが彼の中にきっちりと息づいているからだろう。
――その中にはもちろん、ミオ達からもらった優しさもあるはずだ。
その一方で、優しさ――情を捨てようとしている者たちがいる。
醍醐景光は、国を挙げて百鬼丸を討とうとしている。「国を守るため」と言えば聞こえはいいが、それは誰か一人に全員の不幸を押し付ける無情の行為でしかない。
多宝丸もその父に追随するかのように情を捨て始めたが……鬼神の力で一致団結した国は、一度何かあればもろくも崩れ去るということは、第十四話「地獄変の巻」で既に描かれている。
そして縫の方の言葉を信じるならば、醍醐と約定を果たしていない、百鬼丸の体を喰らい損ねている鬼神というジョーカーが存在する……。
このまま進めば、醍醐の国は滅びへと突き進むしか無い事は明らかだ。