たこわさ

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どろろ 第二十四話「どろろと百鬼丸」感想――炎に焼かれ残ったものは

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今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

燃え盛る醍醐の城の中で、百鬼丸と多宝丸は激しく剣を交えていた。
しかし、剣を合わせるたびに、百鬼丸の中にはある違和感が生じていた。城の中で父母の愛を受け育ったはずの多宝丸の心には、はっきりとした欠落が見えていた。

一方、我が子同士の争いを止めるため、縫の方は一人で醍醐の城を目指していた。途中、琵琶丸に助けられた彼女は、城の抜け道を使って二人に会いに行こうとする。
その現場に居合わせたどろろは「自分も行く」と言い出すが、縫の方は、どろろにある言葉を送ってそこに留め置く――。

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感想

サブタイトルの「どろろと百鬼丸」というのは、旧アニメの変更後のタイトルでもある。
当時、ハード路線からコミカル路線へと急転換を迫られて、決して順風満帆ではなかった同作を象徴するような題名なのだが……わざわざそれを最終話のサブタイトルに採用したという辺りに、制作陣の無言のメッセージ――すなわち、この後どろろと百鬼丸は笑顔に満ちた日々を過ごしたのだ、という意図を感じてしまう、と言ったら穿ち過ぎだろうか?

百鬼丸が「人として」醍醐景光に生きるという罰を与えた……という、ある種、救いのある終わり方であったが、犠牲となった縫の方と多宝丸には同情を禁じ得ない。
多宝丸も、心の何処かでは自分が間違っていることを確信していて、だからこそ最後に「人」の心を見せてくれた百鬼丸を、再び「兄上」と呼び、鬼神に一矢報いるべく眼をくり抜いたのだろう。
母に抱かれながら最期を遂げたことで、彼は救われたことだろうが……欲を言えば、やはり「人」として独り立ちした後の彼の姿を見てみたくもあった。

どろろが行き着いた答え――父親の隠し財産をみんなで訳あって「国」を作る、というアイディアは、一見すると安直にも見えるが……どろろは、人間の本質を見抜く鋭い眼力と、清濁併せ呑んでこそ人間であるという、ある種達観した価値観を持っている事が物語を通じて描かれてきたので、不安はない。
あの三人に隠し財宝のことを教えたのも、信頼できると踏んだからだろう。どろろの人を見る目が確かであることも、作中で証明されてきた。

少女へと成長したその姿からも、どろろの国造りはうまくいった事が窺える。
百鬼丸との再会が果たして何年後になるのかは明示されなかったが……来るべき戦後の世においても、二人はたくましく生きていくのだろう。
その未来に幸多からんことを、願ってやまない。