たこわさ

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どろろ 第十五話「地獄変の巻」感想――人が外道に成り果てる時

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今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

鯖目の屋敷で蛾の鬼神に襲われたどろろ達。
すんでの所で撃退したものの、鯖目と鬼神が繋がっているのは最早明白であった。

翌朝、百鬼丸は鯖目を、どろろは村の様子を探り始める。

どろろが目にしたのは平和で豊かな村の光景。だが、親切にしてくれた老婆は、焼けた尼寺の話をした途端、そっけなくなりその場をあとにしてしまう。
きな臭いものを感じたどろろは、やがて米が豊かに蓄えられた村の蔵を発見する。が、そこで村人達に不意打ちされ、蛾の幼虫の化物が潜む蔵の地下へと閉じ込められてしまう――。

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感想

寺の尼僧と子供たちを生贄にした村人達。だから、彼らに訪れた惨劇はまさに因果応報以外の何物でもないのだが……優しすぎるどろろには、それを割り切って受け入れることなど出来なかったようだ。

村人達に罪はない、とはとても言えないが、それでも彼らを凶行に駆り立てたのは家族を食わせたいという切実な願い、そして鯖目とマイマイオンバによるそそのかしがあった。
もしも彼らに、生きるに困らぬ程度の蓄えさえあったならば、鬼畜外道の所業に及ぶこともなかった。
どろろには、そこまで見えてしまっているから、単純に彼らを「悪」と割り切れないのだろう。

一方で、百鬼丸にも葛藤があるように思える。
鯖目も村人達も、百鬼丸の目から見れば父・景光たちと同じく「自分たちの都合で他人を犠牲にする鬼」でしかない。
しかし、百鬼丸自身も一歩間違えれば「自分の体を取り戻すためにだけに、人間に害だけでなく恩恵も与えている鬼神を殺す」だけの存在になってしまう。

だから、百鬼丸の苛立ちの裏には、憎むべき父親と自分の何が違うのかという葛藤があるのだろう。
今までは百鬼丸の傍にはどろろがいたから、人間の心を失わずに済んでいた。しかし、どうやらどろろはイタチにさらわれてしまう模様。

どろろを失いそうになった時、百鬼丸の心に去来するのは、一体どんな感情なのか? 次回のエピソードは、彼が鬼ではなく人に留まれるかどうか、その試金石となりそうだ。

しかし、今回は作画が所々簡略化されているのが目立った。

演出なのか省エネ作画なのか、判断に悩むところ……。