たこわさ

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最大の試練到来!『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿9 「case.冠位決議(中)」』今夏にはアニメ化も!

ロード・エルメロイII世の事件簿9 case.冠位決議(中)【書籍】

読了に少し時間がかかってしまいました。中々の読みごたえ。
昨年末のスペシャルアニメのお蔭で、ビジュアルイメージを補強しながら読むことが出来ました。TVアニメも楽しみです。

(以下ネタバレ含む感想)


Kindle版はこちら。



ドクター・ハートレスの目的が「英霊イスカンダルの召喚」であることに気付いてしまったロード・エルメロイⅡ世。
一方、Ⅱ世の不在をつくように、ハートレスはスラーを襲撃し、街にフェイカーの宝具が迫りくる――という、何とも気になる所で引いてくれた上巻。

元々、上下巻予定だったのがこの中巻が追加されたことで、少し間延びしてしまうのでは……? と心配していましたが、全くそんなことはありませんでした。
かつての「協力者」達が再集結し、未曾有の困難に立ち向かう……王道の熱血展開で「続く」となり、否応なしに盛り上がります。

ロード・エルメロイⅡ世の「生きる意味」そのものを根底から揺るがす危機! それを救ったのは?

Ⅱ世……ウェイバーにとって悲願とも言える「英霊イスカンダルの再召喚」。
ハートレスの目的がそれだと知り、Ⅱ世の心は揺れに揺れます。今回の肝は、そこからⅡ世がどう立ち上がるか、という点。

Ⅱ世にとっての生きる意味・目標が叶ってしまうわけですから、彼の燃え尽き方もやむを得ないと思いますが……それでも、もしイスカンダル本人がいたら真っ先にビンタを食らわせていたでしょうねw
……今回、それをやってくれたのがグレイになるとは思いもよりませんでした。

Ⅱ世は、自分への周囲からの高い評価も、生徒達やライネス、グレイのような大切な人達が出来たことも、「ただの幸運」故のものだと言ってしまっていますが……あれだけ他人や自分の力量を正確に測れる彼が、実は自分自身の人徳であるとかそういうものを、一切認めていなかったというのが……なんというか、萌えポイントですね(笑)。
やはり彼の本質はウェイバー・ベルベットであった頃と何も変わっていないのでしょう。過剰に自分を過小評価している。

Fate/Zero 1/8 ウェイバー・ベルベット (1/8スケール PVC製塗装済完成品)


それが今回のことで、ようやく一皮むけたようです。
かつてⅡ世がグレイを暗闇の中から救い出したように、今度はグレイが彼を救い出した。
この師弟が、今度こそ本当の絆を得た瞬間だったのかも知れません。

ライネスやスヴィン、蒼崎橙子の活躍も見逃せない

Ⅱ世の不在の中でもトップとして立派に振る舞い、また彼が立ち直れない可能性を考慮して自らが矢面に立つ準備をしていたライネス。
ライネスをサーヴァント相手から見事に守りきってみせたスヴィン。
サーヴァント――しかも相性の悪い「神代の魔術師」相手に渡り合ってみせた蒼崎橙子
それぞれの活躍も光りましたね。

橙子は結局は敗北しましたが、そもそも現代の魔術師が決して勝てない神代の魔術師かつ肉弾戦もいけるフェイカー相手に、ある程度善戦出来た方が異常なわけでw
最悪、今の肉体にとどめを刺してもらえれば相手もろとも滅ぼせますしね……。型月屈指のチートキャラの所以。

ライネスはなんというか……今回も影のヒロインというか、もうひとりの主役というか。
Ⅱ世を無理やり踏ん張らせようと思えば出来たろうにそれをしなかったり、グレイのハグに思わず優しい側面をぽろりしたり。
あと何気に、ロリガマリーもといオルガマリーがⅡ世達に好意的なのは、ひとえにライネスへの親愛(未満)の情があるからだったり、と。影の立役者なんですよね……。
彼女の将来は今の所まだ明示されてませんが……立派なロードになれそうなものですね。ま、何だかんだ理由をつけてウェイバーを手放さないんじゃないか、という気もしますが。

……あと、ちょっと気になるのは……失意のⅡ世の執務室に二人きりで数十分って、何があったんですかね?w

沢山の人達に助けられるロード、それがエルメロイⅡ世

きっかけはグレイのビンタでしたが、Ⅱ世を立ち直らせたのは、多くの人が彼に示した期待であるとか感謝であるとか、そういった気持でした。
聖杯戦争に散ったアトラムは、自らの死を予期し、Ⅱ世への最低限の恩返しとしてハートレスに関する重要な情報を届けてくれた。
Ⅱ世に一目置くルヴィアは、飾りない発破を彼にかけ、更にはアルビオンでの戦いに同行してくれた。

アルビオンへの道行きには、ルヴィア以外にも剥離城の事件で出会った人々が……。

多くの魔術師が、決して打算だけではない理由で彼に協力をしてくれる……それこそがロード・エルメロイⅡ世の最強の武器なんじゃないか、と。
かの征服王とは全く異なるけれども、人々が力を託す象徴として機能している今の彼には、紛れもなく「王の兆し」があるように思えます。

しかし、心強い味方を得たとは言え、相手は不気味なハートレスとサーヴァント・フェイカー。
おまけに戦いの舞台は人外魔境の迷宮アルビオン
Ⅱ世の戦いの行方は、果たして?

最終巻は夏コミ前には発行予定とのこと。楽しみに待ちたいと思います。

それまでは漫画版を楽しみましょう。

ロード・エルメロイII世の事件簿 (3) (角川コミックス・エース)

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