たこわさ

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ドラゴンクエスト ダイの大冒険 第1話「小さな勇者、ダイ」感想――20年以上の時を経て、ダイ復活!

小さな勇者、ダイ


今回の満足度:5点(5点満点中)

(以下、ネタバレ含む)

あらすじ

魔族を統べる「魔王」は勇者によって倒され、世界は平和を迎えていた。
それは魔王に操られていたモンスター達も例外ではなく、彼らは絶海の孤島「デルムリン島」で、ほのぼのと暮らしていた。

そんな島で唯一の人間であるダイは、勇者に憧れる少年。
育ての親であるブラスは彼を魔法使いに育てたいようだが、ダイは「勇者になる」と意気込んでいた。

ある日、島へ立派な扮装の男女四人がやってくる。
その堂々とした出で立ちから、ダイは彼らが勇者一行であると考え歓待するが――それは大きな間違いだった。

彼らの正体は、魔王がいなくなり大人しくなったモンスター達を一方的に退治し、名声を高める「ニセ勇者」だった。
そんなこととはつゆ知らず、ダイは親友である「ゴールデンメタルスライム」のゴメちゃんを紹介してしまうが、ゴメちゃんこそがニセ勇者達の目的だった。

島のモンスター達を痛めつけ、ゴメちゃんを拉致するニセ勇者。
怒りに燃えるダイは、ブラスから託された「魔法の筒」を携えてニセ勇者の後を追うが――。

感想

このアニメの原作は二十四年前に完結した、週刊少年ジャンプの看板マンガだ。
人気RPGシリーズ「ドラゴンクエスト」の世界観を継承しながらも、オリジナルのキャラクターや呪文・技等が登場し、その王道冒険譚には当時の少年少女がワクワクさせられたものだが……実は本作、一度アニメ化している。

一九九一年から一年間ほど放映されたのがそれだが、諸事情あり、原作完結を待たずして打ち切りになっている。
その為、原作ファンには「完全アニメ化」が長年の悲願だったのだが……まさか、原作終了から二十年以上を経て実現するとは、思いもよらなかった事だろう。
当時の少年少女の多くは、おそらくいい大人となって――あるいは人の子の親となって、本作を観ることになっている。

当ブログでは、そういった隔世の感を踏まえて、原作連載当時の知識なども補足しつつ、感想を書いていきたい。

原作からの改変が目立ったが、つかみはOKな第一話

さて、今回アニメ化されたのは、「ダイの大冒険」の前日譚である読み切り「デルパ! イルイル!」の全編及び「ダイ爆発!!!」の導入部分となる。

概ね原作通りの展開となったが、本来は前後編であった「デルパ!イルイル!」を20分程度でまとめる為か、幾つかの描写が省かれていた。
原作では、ニセ勇者はロモス王国へと舞い戻り、そこで歓待を受ける。ダイはそこへ潜入する訳だが……、展開をスピーディに済ませる為か、ロモス王も船でデルムリン島の近くまで来ていた、という設定に変更されていた。

その為、ニセ勇者パーティの紹介にあたるエピソードがごっそり削られていた。
特に、ダイが女僧侶を捕まえて「尋問」するシーン等は、少年誌らしいちょっとしたお色気シーンになっていたのだが……まあ、削除して正解だろう(笑)。
気になる方は、ぜひとも原作を読んでいただきたい。

※アニメ化を記念して発売される愛蔵版。


その他、金の魔法の筒に封じ込められていたモンスターの種類などが変更されているが、これは多少解説が必要かもしれない。
元々、「デルパ!イルイル!」がジャンプに掲載されたのは、ファミコン版「ドラゴンクエストIV~導かれし者たち」の発売前情報が出回っていた頃だった。
その為、原作では金の魔法の筒には、ファンサービスとしてドラクエ4で登場する新モンスターが封じ込められていて、一足先にお披露目……という仕掛けが用意されていた。

※上記はニンテンドーDS版。

つまり、「読者も知らないドラクエのモンスターが登場する」というサプライズであり、作中のダイも「見たことが無いモンスターだ」と驚き、読者とシンクロする演出になっていたわけだ。

そういった文脈が欠けていると、演出としては少々物足りないものとなってしまう為に、今回その設定は削られたものと思われる。
――もっとも、後々にこの設定が伏線になっている場面もあるので、自動的にそちらも削除されてしまう訳だが……。

作画その他には今のところ不安なし

アバンタイトルで描かれたのは、勇者が魔王を倒すシーンや、後々に登場するとあるキャラクターの悲しい過去を描いたシーン。
特に、勇者と魔王の対決シーンは、原作初期では設定にブレがあったので、今回のアニメでは逐一そういった部分を修正してくれていることが分かり、先の展開への不安が一つ消えた。

第一話ということもあり、作画も良い意味でのキッズアニメ風で安定していた。
今後も派手なアクションが続くので、作画チームには頑張っていただきたい(苦笑)。

旧アニメでは、呪文等の専門用語にいちいち解説のようなものが付いていたが*1、今回はさっぱりとカットした模様。
恐らく今回のように、CM入りや明けのアイキャッチの際に、簡単な説明が入るといった演出が続くと思われる。

……一点、不満というか残念だったのは、原作ゲームのBGMが殆ど使われなかった事だろうか?
旧アニメでは「これでもか!」というくらいにドラクエシリーズの名曲が使用され、それはそれは盛り上がったのだが……。*2

第1話 オレは小さな勇者ダイ!!

第1話 オレは小さな勇者ダイ!!

  • 発売日: 2020/01/06
  • メディア: Prime Video
※旧アニメの第一話。数々の名曲が使われている。なお、衝撃的なOPテーマは原作由来ではなくすぎやま先生書き下ろしw

まあ、原作ファンからの要請が強い部分なので、今後もしかしたら……という希望は持っておきたい。



ということで、第一話としては大きな不満点はなく、ほぼ満足だった。
唯一不安なのが、「これが今の子供世代に受けるのか?」という点。
ドラクエについては今もシリーズが続いており、幼年向けのタイトルもあるくらいなので、世界観への理解は早いだろうが……王道バトルものの、ある種の頂点の一つであるので、逆に後年のフォロワー作品を観ている層だと「似てる」と思えてくる展開も多い。

「原典」として楽しんでもらえるかどうか。その点が少し不安と言えば不安だ。

*1:本当の初期だけだが

*2:オマケに旧アニメの音楽担当はすぎやまこういち先生ご自身。