たこわさ

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フルーツバスケット 第18話「大切なのは……」感想――十二支の一人・杞紗が登場

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今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

ある日、透と由希が雨宿りしていると、そこに何やらタオルに包んだものを抱えた潑春が通りかかる。
タオルの中には、なんと虎の子供が。

その虎は、十二支の一人である杞紗だった。
かわいらしい容姿に、思わず撫でようと手を伸ばした透だったが、杞紗に噛まれてしまい――。

感想

杞紗が透に歩み寄ったシーン。よく考えれば由希は、全裸の杞紗を凝視していたようにも見えてしまい、あれが彼でなければ親戚とは言え警察沙汰だったのではないだろうか?(笑)

……などと笑い話でも交えなければ、とてもではないが明るい気分で語れるエピソードではなかったように思える。

小中学生くらいの子供というのは、とかく「異物」に敏感で排除しようとする生き物だ。
彼らにとって、「目立つ」ということ、それ自体が悪になる場合もあり、彼らの中では多くの場合そういった対象へのいじめは正当化される。
シチュエーションは異なるが、例えば後年の作品でいうと「聲の形」などが似たような構造を描いていたので、思い当たる方も多いかも知れない。

潑春が「反吐が出る」と評した担任の対応は、まだあれでもマシな方だろう。
中には言葉を選ばず、もっと端的な言葉で「いじめられた方に問題がある」と、いじめられた子を奈落の底へ叩き落とす教師もいる。

とかく、複雑な生い立ちを持つ子供や、親に愛されずに育った子供は、自己否定的になるものだ。
そういう子供に大切なのは、「自分を好きになりましょう」等という綺麗事ではなく、どんな子供であっても慈しむという、愛を与える行為のはず。
杞紗の場合は、母親とのすれ違いがあっただけのようなので、透の登場によってこれから家庭環境も変わっていくのだろうが……もし、透が現れなければ、潑春たちの言葉が杞紗に届かなければ、杞紗はあのまま、自分を好きになれないまま、大人になっていたかも知れない。
それを考えると、とても胸が痛む。

そういう点では、由希は救われなかった杞紗の可能性の一つ、と言えるのかも知れない。
女子たちから王子と持て囃され、同性からも尊敬の念を集める彼だが……潑春以外には、友人と呼べるような人間もいなかった。
彼の場合は、能力が高くまた生来の気位の高さもあるので堂々と生きてこれたのだろうが……それにも限界があったように思える。遠からず、彼の人生は破綻していた可能性もあっただろう。

そんな由希に優しい言葉を投げかけ、暖かく包んでくれた透が、彼にとってどれだけ大きな存在か、分かろうというものだろう。
そしてその由希から透への思いが、いわゆる男女のそれとは少しずれている、ということも。

変わろうとし始めた由希は、自分のそんな思いの正体に、気付きつつあるのかも知れない。