revisions リヴィジョンズ　Case12「revert」感想――大介は今度こそ「本物」になれるのか？

今回の満足度：5点（5点満点中）
（以下ネタバレ）

あらすじ

渋谷の再転送が始まり、街に残っていた剴達は無事に2017年へと帰還した。
だが、そこに大介の姿はない。

しかし、そこへ時空の狭間に消えたはずの慶作が現れ、「大介は子供の頃に死んだだろ」という「事実」を突きつけてくる。
――剴とマリマリには、確かに幼い頃の事件で大介が死んだという記憶があった。

一方、ニコラスを追って過去へ飛んだ大介は、アーヴの命令に従って慶作を暗殺しようとするミロを止めるため、子供の頃の自分達を引き連れて、あの運命の小屋へとやって来ていた。

自らの行動により、誘拐されたのが大介ではなく慶作に変わった過去で、ミロは苦悩していた。
アーヴの未来予測も絶対ではない。ここで無垢な慶作を殺して本当に未来は救われるのか？　と。

そこへ大介が現れ、ミロを叱咤。
しかも更に、ニコラスが慶作の暗殺を阻止すべく現れてしまう。

そしてニコラスは語る。今までも大介を殺そうと何度も歴史に介入してきたが、そのことごとくが失敗に終わっていたと。ニコラスは、自分が存在する未来への可能性を閉ざす要因と思しき大介を、意地でも亡きものにしようと考えていた。

未来と現在、過去で同時に暗躍するニコラスを前に、大介とミロは勝利することが出来るのか――？

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感想

非常に密度の高い最終回だった。
本作の中盤までの展開に色々と文句をいう方も多いだろうが……私的には間違いなく佳作として映った。

時空が交錯する本作品の世界設定の中では、ニコラスのように全ての時空に同時に存在できるものの存在により、異なる時間軸同士がリアルタイムに影響し合う、という現象が起きていたようだ。

子供の頃にミロから託された言葉が、五人それぞれに違っていた理由がようやく明かされ、思わず膝を打った。
つまり、大介の中に達はニコラスが大介を殺そうとした回数分の記憶が同時に存在する、という訳だ。
その中で、それぞれに結び付きが強い記憶が、それぞれの「過去の事実」として認識されていたことになるのだろう。
もっとも、大介の場合はエラい強固な記憶が残ったようだがｗ

剴達三人が大介を時空の狭間から救い出した件だけがよく分からなかったが……もしかすると、あの五人もそれぞれ量子脳に近い能力を持っているのではないだろうか？
可能性は彼らの中に無数あり、しかし歴史の向かう先は一つ。ある意味彼ら自身が特異点であり……大介が口にした「慶作は絶対に戻ってくる」という言葉も、ただの希望的観測ではなく、彼らの中にある確かな「何か」がそう口にさせたのではないか、と思う。

そしてその能力がもっとも強かったのが、他ならぬ慶作だったのではないだろうか？

そう考えると……彼があのまま時空の彼方へ消えるはずもなく、更には融合状態にあったニコラスもしぶとく生き残り……Cパートで描かれた更に過激な時空転送が起こってしまった、ということなのかもしれない。

多分に続編を意識した引き方は、ともすれば視聴者に悲しみしか残さないのだが*1……慶作生前の可能性も同時に示されたのだと考えれば、作品の余韻として受け取ることも出来るだろう。

大介のあまりの成長の無さにイライラした視聴者は多かったことだろうが……そもそも「偽物」であった彼が、人並みに成長するにはあれだけの試練と、そして何より仲間や先達の支えが必要だった、ということだ。
昨今の、「人間のクズだったはずなのに、たった一つの切っ掛けで別人のように成長する」という都合の良いサクセスストーリーへの「NO」を示した作品だったとも言える。

そういった意味で、私はこの作品が「大好き」だった。
スタッフ及び谷口監督には、感謝の念しか無いということを申し上げて、本稿の〆としたい。