たこわさ

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どろろ 第九話「無残帳の巻」感想

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今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

旅の途中、どろろが熱を出して倒れてしまう。
まだ言葉を自由に操れない百鬼丸は、周囲に上手く助けを求めることも出来ず途方に暮れてしまう。
するとそこへ、近くの寺の尼僧が通りかかり、手を差し伸べてくれる。

一方、どろろは高熱にうなされる中、父の火袋と母のお自夜との日々を思い出していた。

どろろの父の火袋は、野盗の頭。
野盗と言っても、侍しか襲わないという、他の「野伏」とは一線を画す存在だった。

しかしある時、火袋は部下の裏切りにあい、手酷い傷を負ってしまう。
傷付いた火袋をかばいながらの、親子三人の辛い道行きが始まるが――。

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感想

どろろの生い立ちが描かれた。
多少のアレンジはあったものの、火袋の義賊設定やイタチの裏切り、お自夜が素手でお粥を受け取るシーンなど、原作を踏襲した部分が多い。

火袋については、原作よりもその死の理不尽さが軽減されていたように、私的には感じた。
原作では貴人の施しを断った末に乱闘死しているが、今回のアニメでは、過去の行いが自分に返ってきた具合になっている。

侍たちの蛮行は目に余るものがあるが、屋敷に押し入って一族郎党皆殺し……という火袋の行為に義があったかと言えば……。
火袋は結局、因果応報で死んだのだ。しかしながら「じゃあ、火袋達はひたすら耐えればよかったのか?」と問われれば、否と答えるしか無く。

このもどかしくも「正解のない」描き方は、後期の手塚治虫作品にも多く見られたテーマ。
「自分の体を取り戻し、妖怪に苦しめられている人々を救う」百鬼丸の行為が、同時に「鬼神の加護により恵みを与えられていた領内の和を乱す」ことに通じる二律背反という、本作のテーマと同じく。

さて、何かついでのようにどろろの秘密――実は少女であったことが明かされた。
この点は原作ファンにはおなじみの驚き設定だが、このアニメでは第一話の時点から要所要所で伏線が張られていたので、恐らく原作知識がない方にも唐突感はなかったであろう。