ゲゲゲの鬼太郎(第6期) 第38話「新春食人奇譚 火車」感想
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
初詣の帰り、まなは息を切らしながら死体を引きずる妖怪を目撃する。
まなに驚き逃げてしまったその妖怪は、火車といい、死体を奪い食らう古い妖怪だった。
だが、よる年波には勝てず、力の衰えた火車は死体を奪うこともままらなくなっていた。
しかし、それにねずみ男が目をつける。
ねずみ男は、秘密裏に死体を処理したい後ろ暗い人間たちから依頼を受けて、死体を火車に食べさせるという商売を始めるが――。
感想
新年早々からとんでもないネタをやってくれたものだ(苦笑
「惜しまれつつ死んだ人間の遺体を食らうことを最上の喜びとする」という火車の性質もそうだが、ねずみ男が嬉々として、殺人や死体遺棄の隠蔽を手伝うという、彼の最も暗い部分を強調した点もえげつない。
出来れば、母親の死を隠したあの男のように、他の人間にも司直の手が伸びていてくれてほしいものだが……。
火車が男の体を奪ってのうのうと生き延びる、という後味の悪いオチも含めて、「新春にやるネタか……」と、制作側のチャレンジ精神に敬意半分・呆れ半分の想いを抱いてしまった。
過去作品での火車
火車という妖怪の由来は古く、日本各地に同様の伝承がある。そういった意味で、本編での年老いた姿というのは、伝承を逆手に取った皮肉と言えるかも知れない。
さて、その火車だが、有名な妖怪ということもあり、過去アニメにも頻繁に登場している。
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強大な妖怪という設定。鬼太郎ですら対決に慎重になるほど。
なお、今回はゲスぶりを見せたねずみ男だが、このエピソードではむしろ彼の人情家としての側面が強調して描かれている。
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原作漫画の「逆餅殺し」に近い構成で、母親の死体を奪われた少年からの依頼で火車を倒しに行った鬼太郎が、体を乗っ取られてしまう。
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こちらは一風変わっていて、母親の死を省みない子供ら三人を懲らしめるために火車が動く、という筋立て。
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あらぬ疑いをかけられた火車が、鬼太郎の体を奪って自ら真犯人を探し出すために七転八倒する……という筋立て。
第四作と同じく、悪役ではない上に最終的には味方になる。
いずれの場合も、「餅好き」という点が強調されているのが特徴か。
時代や作風によって「遺体を奪う」という属性が無くなっている(薄くなっている)点は興味深い。
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