たこわさ

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GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 第15話「テュカ・ルナ・マルソー」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

柳田から「炎龍を倒してほしい」と自衛隊を頼ってきたダークエルフ=ヤオの話を聞いた伊丹。何やら伊丹を炎龍退治に向かわせようとしているらしい柳田を訝しがりつつも、ヤオの依頼を陸将が正式に断っている事を挙げ、「命令でもないのに自分や部下の命を危険に晒せない」と突っぱねる伊丹。しかし、そんな伊丹の反応を予想していたのか、柳田は続けてテュカの様子を見に行くようすすめる。何故ここでテュカの話が? と疑問に思いつつも彼女のもとを訪ねた伊丹だったが、その理由はすぐに分かった。伊丹の姿を見るなり、テュカは伊丹の事を「お父さん」と呼んで縋りついてきた――彼女の心は壊れていた。
ずっと父親の死を受け止められずにいたテュカ。彼女の心を慮って伊丹達周囲の人間は、彼女の心の病を慎重に取り扱って来た。それを台無しにしたのはヤオだった。伊丹がレレイ、ロウリィ、テュカの三人を任務よりも大事にしていると伝え聞いたヤオは、テュカに父親の死を突きつけ、彼女の心を壊した。そして伊丹に、仇である炎龍を討てばテュカも父親の死を受け入れるかもしれないと吹き込み、炎龍退治を迫ってくる。
炎龍を討ちたいと思いつつも、大規模部隊を動かせない以上、その討伐任務は少数精鋭で行う事になる。柳田の目論見通り部隊を引き連れ炎龍退治に向かえば、自分も部下も決してただでは済まない。思い悩んだ伊丹は、自分が父親の振りをし続ける事で少しでもテュカの心労を減らそうとするが、それが長く続く訳もなく――。

感想

※原作は未読です。
二期になってから毎回毎回ヘヴィなお話が続きます。一期の時は大規模戦闘で大量の死者が出ましたが、二期は個人レベルでの「割り切れない想い」が意識して描かれているように見受けられますね。
ほんの少しだけ語られた伊丹の過去からは、彼の母親が父親を「殺し」精神の均衡を崩した結果、それに耐えきれなくなった若き伊丹が「法律」を盾に母親から逃げ出した事が伺えます。彼が、人並み以上の人情を持ちながらも感情に流されて任務を放棄する事も安易な行動をする事もないのに、時に過剰とも言える優しさを見せる理由はここにあった訳ですね。母親を救えなかった無念、逃げ出してしまった罪悪感。伊丹が性格の割に達観した判断ができる「大人」である事の裏に、そういった経験があったというのは実に興味深い事です。
柳田は、旅立つ伊丹を見送りながらも彼の事を酷評(?)していましたが……お互いに背中を預け合う仲になればきっと彼の認識も変わるんじゃないでしょうかね? きっと柳田は、実に模範的な自衛官として潔癖に振る舞ってきた自分と、命令違反・不真面目行為なんでもござれなのに幸運に恵まれ続けて同じ階級に立った伊丹とを比べてしまってあんなことを言ったのでしょうから、その気持ちは分からなくもないですが(笑)。自分が真面目に職務に励んでいる横で、ちゃらんぽらんな野郎が異世界の美少女達にモテモテな上に揃って一緒に命を懸けてくれるとかいう光景を見てしまったら、誰だって何か言いたくなるでしょうし。
さて、伊丹達が死地へと旅立った一方、帝都では何やらきな臭い空気が。ゾルザルがあそこまで「馬鹿を演じる馬鹿」になってしまったのは、彼に心酔しているはずのテューレが原因でした。まあ、OPの描写を見る限り何か裏はあるだろうな、と思っていましたが、復讐鬼というよりはラスボスポジションですな、あれ。ゾルザルはあれだけ自衛隊に痛い目に遭わされていても、まだ「勝てる」と思っている節がありますから、テューレによって見事な真正馬鹿に調教されてしまったんですな……。それでいてゾルザルは自分の方が「飼い主」だと思っているんですから。ピニャに野心があればゾルザルを廃嫡させる事も可能でしょうが、彼女は「ゲージュツ」に耽溺したいだけだからなぁw