たこわさ

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機動戦士ガンダムAGE 第48話「絶望の煌めき」感想

どうでもいいことですが、「煌めき」という言葉は華やかであるとか高貴であるとかそういった意味でも使われるように本来的にはポジティブな意味なので「絶望」という言葉とセットで使う事に違和感を覚えざるを得なかったり。
(以下ネタバレ)
味方を巻き込んででもディーヴァとガンダムを葬り去ろうとディグマゼノン砲の再発射を敢行するゼハート。その中でフラムに「ガンダムを射線上におびき寄せろ」、つまり「死ね」と命じる。
ゼハートというキャラクターは、ヴェイガンとして冷徹に作戦を遂行する軍人としての心と、甘さを捨てきれず部下や友人を大切に扱う心とを併せ持つからこそ周囲の人間がついてくる人間としてある程度成立していたと思います。なので、彼が「優しさ」を捨ててイゼルカントの理想を継ぐと決心した瞬間から、彼の破滅は決まっていたのでしょう。*1
そんなゼハートに惹かれ、彼の理想の為に死ぬ覚悟を持って戦場に立ったフラム。結局、彼女は命を賭したにも関わらず作戦を完遂出来なかった訳ですが、最後の瞬間にゼハートの心と触れ合えた*2事が唯一の救いか。
全てを賭け部下をも犠牲にした作戦が失敗した事に愕然とするゼハート。そんな彼の心の中に響く、かつて犠牲となっていった者達の嘲笑。あれは、彼自身の心の声だったのでしょう。本当はゼハートもイゼルカントからの「借り物の理想」を追い求めても上手く行く筈などないと、分っていたのかもしれません。
最後に紛れも無い「一騎打ち」で彼を打ち負かしたのが友アセムであった事が、ゼハートにとっては唯一の救いだった事でしょう。最後の最後で、彼は「イゼルカントの理想実現の為のマシーン」ではなく「人間」として死ねたのですから。
セム

掴めない物だってある。俺たちは人間なんだから

という言葉はいちいち台詞に重みが無い本作の中では珍しく、ズシンと来る名台詞でしたね。ある意味、この作品の本質を表す言葉なのかもしれません。強大な力と信念を持っていても、結局何も成し遂げられなかったゼハートだけでなく、キオの現在状況へのアンチテーゼにもなっているような。
ディーヴァが沈む瞬間やオブライトの最期には、散々文句を言いながらも観続けて来た本作の中でも長い付き合いとなった戦艦とキャラクターだけに、流石にそこだけはグッと来るものがありました。オブライトの戦闘作画もなにやら気合が入っていたので、スタッフにも愛されているキャラクターだったのかな?

*1:ただ、彼が何故イゼルカントの理想を継ぐ事を決心したのか、その心の動きが結局最後まで描かれなかったのが不満といえば不満。彼の精神状態を見るに、やはり洗脳に近い処置を施されていたのですかね?

*2:あれは演出ではなく実際の出来事である事が、ゼハート側の描写からも伺えます