氷菓 #11「愚者のエンドロール」感想
原作は「氷菓」のみ読了。
(以下ネタバレ)
奉太郎の導き出した「解答」について、その出来の良さを評価しながらも、それぞれに異論を唱える古典部の面々。
普段は奉太郎に冷たい言葉ばかり浴びせている摩耶花が奉太郎を気遣いながら彼の推理の「漏れ」を指摘し、いつも陽気な里志はシリアスに「本当にあれが本郷の脚本だと思っているのか?」と問い詰め、えるまでもがその笑顔を曇らせ奉太郎の「解答」は本郷の脚本ではないと断言。
「本郷の書いた脚本の続き」を探っていた筈の奉太郎が、いつの間にか「あの映像の続きとして相応しい話」を創造する事に力を傾けてしまっていた――その裏には「女帝」こと入須による巧みな誘導があった。
茶屋で感情をあらわに詰問する奉太郎とそれに対しあくまで感情を交えず冷静に受け答えする入須。奉太郎の最後の問い対して入須が答えを発するまでに一瞬にして時間が経過したかのような描写がされたけれども、あれはただの演出なのかそれとも実時間を表したのか。
前回の感想で「奉太郎が誤った答えを導き出してしまった原因の一つは脚本と映像の乖離にあるのではないか」と書きましたが、実際にそれも要因の一つだった模様。奉太郎の推理では、困ってしまった本郷が入須に助けを求めた、という事になっていますが、入須のチャット相手――その正体は言わずもがなでしょうが――によれば、むしろ入須自身が不出来な脚本をどうにか執筆者である本郷を傷つけずに却下する方法を探っていた、とされています。
まんまと乗せられた奉太郎。かたや、奉太郎を焚き付け万事自分の思惑通りに進んだとほくそえんだ所に思わぬところから「本心」を指摘され、初めて感情を露にした入須。
「愚者のエンドロール」とはよく出来たタイトルです、本当に*1。
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*1:もちろん、「愚者」の象徴であるえるよって上手く話が締められた、という所も表しているのだろうけれども。