たこわさ

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乱歩奇譚 Game of Laplace 第四話「二十面相」感想

今回の満足度:3点(5点満点)
(以下ネタバレ)

あらすじ

ネット上で殺害予告の動画を公開し、その宣言通りに殺人を犯す怪人・二十面相。彼が殺害するのは例外なく法で裁けぬ、裁ききれぬ悪党達だった。三年前に初めて現れ、その後も模倣犯が続くなど社会に大きな影響を与えた「彼」が、今再び本格的な活動を始めていた。
度重なる二十面相の犯行への対応により忙殺されるカガミら警察をよそに、アケチは二十面相を炙り出す為に、警視庁地下の特別な牢獄に繋がれている謎の美女・黒蜥蜴の協力を仰ぎある策を実行に移すが――。

感想

本作は江戸川乱歩作品へのオマージュである為に、ミステリとしての体裁をとっているが、その実ミステリ要素はただの舞台装置でしかなく、どちらかというと「怪奇小説」と同じ意味でのミステリ作品であるように見受けられる。謎解きが重要なのではなく、話を盛り上げる為の手法としてミステリ的な演出をしている、そんな作品だと。それは、本作が所謂「犯人当て」までの間に全ての手掛かりを視聴者に提示していない事からも明らかで、だから視聴者が「犯人当て」に頭をひねる必要はなく、ただ単に話の流れとして一体この先どうなるのか? という点に着目して物語を楽しむべきだ、と。
「ミステリ」と聞くと「必死に伏線を探し推理しながら楽しまなければならない」という強迫観念に襲われる方も多いようだが、そんな事は一部のミステリマニアに任せて、純粋にジェットコースターなりお化け屋敷なりを楽しむノリで本作も楽しんだ方が精神衛生上よろしいと思う。*1

それはさておき。
カガミが今現在の二十面相の正体である、という展開は特に意外性もなく、むしろあからさまに伏線を張り過ぎていて何か更なる裏があるのでは? とどうしても勘繰ってしまうが、上記の通り舞台装置・演出としてのお約束だったのだと受け取っておく。
彼が何故二十面相を継いだ(あるいは再現した)のかについては次回を待たねばならないが、アケチもハシバも二十面相には浅からぬ因縁がある状況をみるに、「怪人二十面相」という存在がこの物語の根幹となる要素であり、全てがそこへ収束していくのだろう。
さて、そうなってくると以前も疑問に感じた「何故アケチという探偵役がいるのに、コバヤシ少年という存在が必要なのか」という点について、ある程度の答えを推測出来て来るのではないかと思う。つまり、殆どの登場人物が「二十面相」という存在と太い糸で結ばれている中で、コバヤシ少年だけが無邪気な観察者として存在しているのではないか? という事だ。もしくはその逆に、コバヤシ少年こそが二十面相の核心に触れる存在では? という邪推も出来るが。案外、ハシバのコバヤシ少年に対する情欲丸出しの好意もその辺りに起因する可能性も……僅かだがあるかもしれない。僅かだが。

しかし今回は、メインのエピソードよりもむしろ「黒蜥蜴」のクレイジーなキャラクターの方が印象深かった。明智小五郎と怪盗黒蜥蜴の隠微な関係も、本作にかかればこれである。いいぞもっとやれ。
……しかし、前期の「プラスティックメモリー」といい今期の「監獄学園」といい本作といい、何やら「おしっこヒロイン」が多いような印象を受ける。日本アニメ界の将来が危ぶまれる(?)。

黒蜥蜴 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

黒蜥蜴 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

*1:しかしもし制作陣が所謂「本格ミステリ」を目指して制作しているのであれば、残念ながらそれは失敗していると明言できる。が、そもそも江戸川乱歩の初期作品では探偵小説というよりも本作のような怪奇小説のノリが多いため、やはり制作陣もそこの所へのオマージュとしての側面をより色濃く表そうとしているのだと思われる。