たこわさ

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乱歩奇譚 Game of Laplace 第十一話「白昼夢」感想

今回の満足度:0点(5点満点)
(以下ネタバレ)

あらすじ

とある高層ビルに陣取ったナミコシとその信奉者たちは、衆人環視の中で五分ごとに一人ずつ飛び降り自殺するというパフォーマンスを始める。アケチを名指しし自分を止めて見せろと宣戦布告するナミコシ。しかし、当のアケチはナミコシの信奉者たちの妨害で現場に近付くことが出来ず、一人、また一人と飛び降りはじめ――。

感想

浅薄極まりない論理を振りかざした稚拙な脚本に一クールつき合わされたのか、と脱力するばかりの最終回だった。
力無き人々の昏い願いを込められた「暗黒性」、それに群がる「弱い人々」がある種の抑止力や免罪符として「二十面相」を肯定するその姿は、恐らくは昨今のネット上における炎上を舞台にした公開私刑の様子に着想を得たものだと思うが、彼らを肯定的・否定的のどちらに捉えていたとしても、やはり脚本から感じるメッセージは何とも腑に落ちない、幼稚なレベルにしか思えなかった。
ナミコシ少年が壮絶な生活を送った理由と二十面相にすがった人々が救いなき悲劇に見舞われた理由は全く異なるし、ナミコシのような真正のサイコパスが「弱い人々」のすがるべき相手とも思えない。アケチという権力の側にいながらも隠れた悪を白日の下にさらす「正義の味方」を二十面相のシンパ達が妨害・敵視する理由もない。アケチが二十面相という免罪符に敵対する存在だから、というのならばそもそも本末転倒。脚本の都合だけ考えてこねくり回されたなんとも稚拙な行動原理。

作り込みが甘かった結果「つまらない」作品になってきたアニメーションは数多く観てきてが、作り込みの後がありありと分かるのにつまらない――を通り越して不快感すら覚える作品は久しぶりだった。メインスタッフ/キャストが信頼のおける面々だっただけに、なんとも残念な気持ち。