たこわさ

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乱歩奇譚 Game of Laplace #1「人間椅子(前編)」感想

(以下ネタバレ)

あらすじ

血にまみれた教室で目覚めたコバヤシ少年。教壇には歪なオブジェと化した変わり果てた担任教師のバラバラ死体。自らの手には凶器と思しき糸鋸。当然の事ながら「重要参考人」として警察に連行される事になったコバヤシ少年だったが、警察の捜査に協力していた高校生探偵・アケチの存在に強い興味を覚え――。

感想

公式サイトのあらすじが実に味わい深いものになっており、是非とも一読をお薦めする。

さて、江戸川乱歩と言えば日本の怪奇小説・探偵小説の先駆けの一人であり、後年にあっては「少年探偵団シリーズ」で名探偵・明智小五郎怪人二十面相との戦いを描く少年小説を多く輩出した名作家だ。私自身も幼い頃には少年探偵団シリーズ、小中学生時代には一般向けの短編・長編をある程度ではあるが愛読していたので、馴染みも深い。しかしながら、果たして現在の若者に「乱歩」というキーワードがどれだけの魅力を与えるものか、未知数なように思える。その点、不安に思っていたものの、第一話を観た印象としては、原典はあくまで原典として尊重しつつも、「乱歩」というキーワード抜きに楽しめる内容になっており杞憂に終わりそうだ。

とは言え、モチーフになる事件や登場人物については乱歩作品からの引用なので、それら知識を持っていればまた別の楽しみ方もできる訳だが。

コバヤシ少年が美少女と見紛う美少年であり常軌を逸した価値観の持ち主、という事で原作を多少なりとも知っている方は度肝の抜かれたかもしれないが、美少年設定については恐らく少年探偵団シリーズにおいての女装エピソードをモチーフにしていると思われ、ニヤリとした方も多いのではないだろうか? 前期までメインスタッフ陣が携わっていた「暗殺教室」における狂言回し・渚も美少女と見紛う美少年という設定だったので、その影響がある事も否めない……かもしれない。

最早「探偵」という設定以外原形をとどめていないように見受けられるアケチについても、これから原典の設定をモチーフとした描写が出てくるかもしれず、そういった意味でも今後が楽しみな作品になりそうだ。

今回のエピソードの原典である短編「人間椅子」は実に乱歩らしいトリックが用いられた作品だが、ただ単に「人間椅子」というキーワードに着想を得た脚本なのか、それともどこかで原作オマージュが挿入されるのか、その点も気になる所。