乱歩奇譚 Game of Laplace 第八話「パノラマ島綺譚(後編)」感想
今回の満足度:2点(5点満点)
(以下ネタバレ)
あらすじ
パノラマ島における密室殺人事件、アケチは既にそのトリックを見破っていた。ずばり犯人を言い当てたアケチだったが、ただ一つ動機だけが分からない。しかし、コバヤシ少年が独自の観察力でその答えを導き出し、事件は幕を下ろした。
パノラマ島の事件の犯人は、死んだ友人の為に起こした行動が、結果的に殺人に繋がってしまっていた。それを受けて、コバヤシは少年何気なく「僕が死んだら仇を取ってくれる?」とハシバに尋ねる。慌てたハシバだったが、「お前が殺されないように頑張る」と答える。そんな二人の様子を眺めていたアケチの胸に去来するものは――。
感想
パノラマ島の事件があまりにもあっさり終了してしまい、本筋は犯人の動機の発端となった「友人の死」を起点にコバヤシ少年とハシバの揺るぎない友人関係を描き、彼らの微笑ましい様子を眺めていたアケチが自らが二十面相にこだわる理由――唯一友達と呼べた人間との別離について語り出す事という、「パノラマ島綺譚」とは何だったのか? と思ってしまうような構成。アケチが自ら過去を語り出す様子は、彼がコバヤシとハシバに一定以上の信頼を寄せるようになった事の証左のように感じられた。
ナミコシとアケチが作り上げた「二十面相」というシステムについては、作中の説明を聞いてもその具体性がいまいち理解できなかった。未来予測のシステムが「二十面相」という存在を世に産み落とす事と、それを確かなものにする方法を産み落とした、という事だろうか? 釈然としない。
パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)
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