たこわさ

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revisions リヴィジョンズ Case1.「渋谷転送」 感想

revisions リヴィジョンズ 1 (ハヤカワ文庫JA)


今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

行き過ぎた正義感や普段から武器を隠し持つ等の過激な行動のせいで、周囲から浮いている青年・堂島大介。

全ては幼い頃に起こった誘拐事件から救ってくれた女性・ミロの「いつか大変な危機が訪れる。皆を守れるのはあなただけ」という言葉を忠実に守っている故の行動なのだが、事件に居合わせた幼馴染達でさえもミロの存在を忘れかけていて、大介の奇っ怪な行動にただただ困らされるばかり。

そんなある日、大介達のもとに危機を知らせるメールが届く。
ミロの言葉が真実だったと知り嬉々とする大介だが、幼馴染達は大介がいたずらメールを送ったのだと誤解し、普段から大介のことを不快に思っていた剴と露の兄妹は彼を厳しく責め立てる。

しかし、そのメールはいたずらでもなんでもなく真実だった。
突如、渋谷一体を突発的な地震が襲い、気付けば街の外は廃墟のような光景に。

しかも、大介達の高校には不気味な姿の巨大ロボットが現れ、次々に生徒たちを惨殺していく。
突然やってきた非日常を前に、大介達は――。


感想

さて、谷口悟朗監督作品ということで「どちらの方向かな?」と構えていたのだが……過激な方向だったようだ(苦笑

まず、主人公の大介からしてヒーローをこじらせた「いかにも」な青年。
もちろん、彼は彼でミロの言葉を忠実に守っていただけなのだろうが、いざ実際に危機が訪れた時に、勇気を出して立ち向かうどころか、普段臆病なマリマリに庇われる始末。
一応は自分の至らなさを自覚していたようだが……ストリング・パペットという力を手にした途端、またもや夢想家の顔を見せ始めているので、「だめだこりゃ」である(笑)。

剴と露の兄妹については、大介に沢山迷惑をかけられていたから仕方がないのだろうが、メールの件は全くの濡れ衣な訳で、大介とは違った意味でこじらせているようにも見える。
備蓄が足りないと判断するやいなや、コンビニへ物資調達に走るという慧眼も見せているが……露の方は兄に依存している節も見受けられ、今後この兄妹がトラブルの発端となる可能性もありそうだ。

反対に、世捨て人感のある慶作と、引っ込み思案で臆病だがいざとなると大胆な行動をとってみせたマリマリは、チーム(?)の良心となってくれそうだ。
……まあ、身内にゴタゴタが多いチームの場合、真っ先に良い人間から死んでいくので、ある意味この二人は死亡フラグが立ちすぎているのだが(苦笑

そして、ミロは大介達が子供の頃に出会った彼女ではない模様。
時間移動が行われたのか、それとも大介達の元々の世界に何か秘密があるのか。


さて、第一話としては作画も演出も脚本も丁寧かつスピーディーで、グイグイと作品世界に引き込まれた。
現代の高校生が荒廃した未来に――という基本設定自体は一昔前のテンプレではあるが、描き方が良いのでマンネリ感は皆無だった。

問題は、恐らくこれから大介のクソウザムーブとそれに反目する剴・露という構図を延々と見せつけられるという点だろうか(苦笑
あそこまで頑なな大介がそう簡単に成長するとも思えないが……彼の場合、ちょっとしたボタンの掛け違いをしているだけ、という可能性もあるので、それが平和的に解決されることを願う。
間違っても「仲間の死がきっかけで覚醒」はやらないでほしい。

……が、これは谷口悟朗監督作品なので以下略。


「日常世界が一変する」系のSFと言えば、谷口監督が原作を手がけた漫画「ĀTRAIL‐ニセカヰ的日常と殲滅エレメント‐」も同様のテーマだったが、本作はどうなることやら。

ATRAIL ‐ニセカヰ的日常と殲滅エレメント‐(1) (カドカワコミックス・エース)


第1話 きたるべきとき

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PHASE-01 大気の外で

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