たこわさ

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蒼穹のファフナー EXODUS 第22話「憎しみの記憶」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

人類軍とフェストゥムの双方に追い詰められた一騎達だったが、そこに思わぬ救援が駆け付ける。美羽達がずっと呼びかけていたフェストゥム「来栖操」が目覚め、援軍として現れてくれたのだ。更には竜宮島のファフナー達も合流し、人類軍とフェストゥムを撃退する事に成功した。
ナレイン将軍一行は生き残った事を、竜宮島の人々は無事再会できたことを喜び合うが、そこに真矢、ミツヒロ、ビリーの姿はなかった。彼等はそれぞれ別の目的で人類軍に囚われてしまっていた。人類軍本拠に連行された真矢はパイロット達から屈辱的な扱いを受けるが、新国連事務総長であるへスター・ギャロップは真矢の優れた資質を見抜き、死した彼女の父ミツヒロ・バートランドの後継者として自分達に協力する事を望む。
しかし当の真矢はますます人類軍への反感を強めていた。生きていると信じていた広登の死を突きつけられ、そして異母弟ミツヒロが人間ではなく、父によって作り上げられた「パペット」と呼ばれる存在である事を明かされ衝撃を受ける真矢だったが、更には目の前でミツヒロの人格が破壊される様を見せ付けられ、静かに、しかし確かにその怒りを増していった。
だが、真に怒りを、憎しみを募らせ爆発させようとするモノは別に存在した。ミツヒロを創り上げるベースにも使われ、人類軍の様々な兵器に利用されてきた「第3アルビス」のコア・プロメテウス。かつて、第3アルビスの島民を皆殺しにされた事、パペットとして沢山の人格を創り出されそして殺されてきた事……それら人類軍の非道への憎しみが、ミツヒロの肉体という器を得て今吹きだそうとしてた――。

感想

真矢への対応を見ても分かる通り、へスター・ギャロップは決して愚かで冷血な人物ではありませんが、やはり根本的な所で道を間違えてしまっていたようです。人類を一つの強固な意志のもとに統一し、フェストゥムを駆逐するという彼女の思想は決して間違いではなかったはずですが、その方法は決定的に間違っていた。フェストゥムの駆逐を掲げながらも兵器として彼らの存在を利用し、その障害になるのならば同じ人類でも容赦なく抹殺するという、その方法が。結局、フェストゥムが人間の感情など理解できるはずがないという彼女の思い込み――差別が人類にとって最も恐ろしい敵を生み出してしまったようです。監視衛星兼通信衛星というこの時代において圧倒的有利な武器さえもプロメテウスの支配下に置かれてしまう事でしょうから、最早人類軍に逃げ場無し、と言ったところか。ミツヒロに人間の心が残っていれば、少なくとも島やナレイン将軍達に危害を加える事ないかもしれませんが……かつてイドゥンがそうであったように、憎しみに支配されたフェストゥムがそうそう甘い行動をとる訳もなく。

囚われた真矢ちゃんの凛々しさには改めて見惚れてしまいましたが、彼女が屈辱的な扱いを受けようとも冷静さを失わない所が逆に辛くもあり。そして自分の痛みには強くても、他人の痛みには弱いところがまた。プロメテウスの反乱によって彼女が人類軍の道具として扱われる未来は消えそうですが……。真矢が怒りに囚われて冷静さを失わないよう助言したディランも味方になってくれそうですが、何かああいう「いい人」は真っ先に死にそうで怖いですね。


さて、今回救援に駆けつけてくれた操の姿に当初は熱くなりましたが……彼は劇場版の操とは「別人」なんですね。もちろん、以前の操が「選んだ」結果として生まれたのが今の操なのでしょうが、それでも開口一番美羽に「同化していい?」はちょっと衝撃でした。それとも、これから人類と過ごす事で彼「ら」の意識や価値観にもなんらかの変化が現れるのかな?

あと、何気に重要だったのが織姫が示唆した総士の「未来」。彼女の言葉が何を指すのかはまだ確定的ではありませんが、少なくとも総士は竜宮島から去り、第3アルビスへと移る模様。そういえば織姫は芹ちゃんにも「その時が来たらそうしなさい」と島から去る事を勧めていますね。そして何だか今回も総士と芹ちゃんはいい雰囲気(変な意味ではなく)に。捉えようによっては織姫ちゃんが二人をくっつけようとしているようにも思えてしまいますが(笑)。まあ、冗談抜きで総士に芹を、芹に総士を任せたい、という想いはありそう。もし総士が織姫が乙姫から転生したように、同じような「生まれ変わり」をする運命にあるのなら、それを見守る人材は芹しかいない、という事なのかも。

にしても、分かっていたとはいえ美三香の見事なエインフェリアル振りは悲しすぎますね……。死ぬことも選ばず戦い続けるその高潔な精神を褒めるべきなのか、嘆くべきなのか。
そして真矢ちゃんのピンチだというのに眠り姫な一騎に苦笑。