蒼穹のファフナー EXODUS 第23話「理由なき力」感想

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今回の満足度：5点（5点満点中）
（以下ネタバレ）

あらすじ

人類軍拉致された真矢といまだ生存していると信じる広登を救うため、マークニヒトを餌に事務総長ヘスター・ギャロップに交渉を持ちかけた総士は、甲洋達に島を託し溝口と共にギャロップのもとへと向かう。水先案内人として彼らを出迎えたのは、島と因縁深いバーンズであり、溝口は彼の口からギャロップの隠された目的を知ることになる。
ギャロップがフェストゥムへの反抗作戦として展開した大規模な戦いの数々、それらは全て、フェストゥムの因子を受け付けない選ばれた5万の人間達を守る為に、それ以外の人類とフェストゥムを排除するための布石だった。ギャロップの暴挙を止めるため彼女に成り代わろうともくろむバーンズは、溝口にギャロップの暗殺まで依頼してくるが、溝口はあくまで慎重な姿勢を崩さなかった。
溝口とギャロップの会談が始まり、広登の遺体が引き渡されることになったが、遺体の入ったケースはバーンズの手の者により既に爆弾にすりかえられていた。しかし、爆弾を目の前にしてもギャロップに焦りはない。バーンズの斥候であるはずのバーゼルもギャロップの仕込んだ「パペット」であり、バーンズの企みは全て筒抜けだったのだ。ギャロップは用済みとなったバーゼルの人格を消去する。しかし、パペットを統括するプロメテウスはミツヒロという器を得た事で、既に人類の制御下を離れていた。プロメテウスの走狗となったバーゼルは、アザゼル型フェストゥムの来訪とギャロップらに対する敵意を告げその場から消えてしまう。
ギャロップはすぐに交戦規定アルファを発動し街ごと敵を消滅させようと目論む。彼女のその指示を間近で目撃した真矢は、ギャロップのやり方を否定し自分が止めてみせると宣言、溝口と広登の遺体ケースと共に脱出を試みるが――。

感想

悲し過ぎる真矢ちゃん＆ミツヒロ無双。
覚悟完了した真矢の強さは、「むしろ真矢ちゃんがザルヴァートルモデル乗ったら最強なんじゃね？」と思わせる程。元々、一騎に伍するとも言われる強パイロットだった真矢ですが、情けを捨てるとあそこまでエグく強くなれるんですね……。そして繭一つ動かさず自分の命をも道具として冷静かつ相手の内面に踏み込んだ交渉をやってのけてしまうとは。そりゃあギャロップも思わず惚れ込んじゃいますわな。でも、それだけに、孤高とも呼べる強さを持っているだけに、死を覚悟した間際の「さよなら、一騎君」という言葉と涙の純粋さと悲しさが際立ってしまい……。
ミツヒロは確かに造られた存在だったのかもしれませんが、彼の高潔な精神は決して偽者ではなく、「真矢は憎めない」という想い――弟として接してくれた彼女への師弟愛とも呼べる信頼――も本物だったはず。誰がなんと言おうと、ミツヒロは真矢の弟だったと思います。でも、彼の人格も最早風前の灯。一縷の望みは、彼女が愛したアイを模した（恐らく）パペットの存在がミツヒロとしての彼の人格を明日へ繋ぐ可能性、もしくはアイ本人が生存しているという僅かな可能性でしょうか。

どうやら最終決戦の場は第三アルビス、プロメテウスの故郷であり、ギャロップが住民を皆殺しにし存在すら抹消した場所であり、ナレイン達のミールが根付く可能性を秘めた、その島になる様子。希望と絶望の島、とでも言えばいいのか。もしかするとエンディングのラスト一枚絵こそが第三アルビスの姿かもしれませんね。最早、島としての姿は欠片も無く、艦としての姿がむき出しになっている、とか。

真矢に全滅させられたアルゴス小隊ですが……厄介な人物だけが生き残ってしまった印象。キースは真矢への憎しみだけしか残っていないし、ビリーも外道とは言え自分には優しかった兄を殺されてしまい、平静でいられる訳もなし。そして彼らが取り残されたのは憎しみの権化プロメテウスが支配権を握った街……。もう同化待ったなし、という感じですね。元の人格を残しつつ、プロメテウスの傀儡として竜宮島に牙を向きそうです。実際には真矢は彼らの命を救ったも同然なところがあるわけで、逆恨みも同然なんですけれども、近しい人間を殺された恨みは理屈でぬぐえるものじゃないですしね。キースはどうでもいいけど、ビリーは救われてほしい所。

今まで殆ど語られなかったギャロップの生い立ちや内面についての描写は必要最低限ながらも中々の重みがありました。彼女の聡明さと愚かさの絶妙なバランスはああやって育まれてしまったのだな、と。今までは全くといっていいほど理解できなかった彼女の理念が、ようやく一欠片程度ではありますが理解できるようになり、しかしそれでも、真矢が断じてくれたように彼女の行いを是とすることは出来ないという、そんな気持ちにさせてくれましたわ。

しかしよく分からないのがプロメテウスの目的。ことさら「憎しみ」を口にしていたものですから、てっきりイドゥンのように全てを無に帰すのかと思いきや、「支配」するのが目的なようにも見受けられ。というか、せっかく真矢ちゃんが救った街（ダーウィン基地？）もあの場にマークレゾンとプロメテウスが残っていることを考えるともう詰んでるんじゃなかろうか？ とか余計なことに気付いてしまった。

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