たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

革命機ヴァルヴレイヴ 第11話「軍事法廷第54号」感想

サブタイトルは公式サイト表記を採用。
(以下ネタバレ)
内閣成立、中立地帯である月への接近に浮かれムードの漂う新生ジオール。だが、その裏ではドルシア軍による包囲網が着々と構築されていた――。
ハルトとサキがあんな格好でどうやって学園に戻ったのか、私、気になります!
それはさておき。
新生ジオールの平和がただの砂上の楼閣である事を示すかのようなドルシア軍の大攻勢、そして実質的な人質とされるショーコの父=前総理大臣。自分の子供らを実験動物同然の扱いをしていた連中のトップな訳だから、どんだけ図太い人物かと思ってたら、意外にも子供達に未来を託して死ねるのだから悔いは無い、と言わんばかりの漢振り。
研究者達にとっては学園の生徒達は実験体だったかもしれないけれども、そもそものヴァルヴレイヴ建造の理念は「子供達に未来を勝ち取る力を与える為」だったのかもしれませんね。ショーコがここ一番で皆を纏め上げてこれたのも、父親の教育の賜物だった、とも受け取れ。
しかし、そんな父親と生徒達の家族を人質にとられたショーコは、何も自分で出来ないままに父親を犠牲にしてしまった事を悔やみます。「何も言えなかった。何も出来なかった」と。しかし、エルエルフの行動を見るに、今回の場合それが正解だったのでしょうね。あの場面からショーコの父親を救い出せる可能性は事実上ゼロだったろうし、下手に助けようとして策を弄すれば、敵を撃退する機会を逸し、結果的にジオールは全滅するしかなかった。だから、エルエルフはショーコが何かしようとしたら即射殺出来るように銃を構えていたのでしょう。
ショーコの人心掌握能力は特筆すべきものがありますが、それは内側を固めるための力であって、外側の問題をどうにかできるものではない。機転を利かせて事態が打開できるのは、状況が紙一重の差である時だけで、「奇跡の大逆転」などない。今回のことは、エルエルフがショーコのリーダーとしての成長を促すために仕組んだ策、とも受け取れますね。もしかすると、今回ショーコがアキラの地雷を踏んでしまったこともエルエルフの中では折込済みなのかもしれませんね。

さて、一方で前回ヴァルヴレイヴからの無慈悲な命令によって*1サキを強姦してしまったハルト。サキはやけにさっぱりした態度を崩しませんが、ハルトは何やら決心をしたようで、サキに「結婚」を申し込みました。確かに、相手がそれを求めていない以上、謝罪するというのは下の下の対応ですが、求婚という発想も中々に斜め上だわ(笑)。まあ、一分一秒を争う事態の中、どうしても伝えたかったという想いだけは評価できなくも無いけれども。
しかし、ハルトとサキとショーコに降りかかった災難を見ていると、やっぱりガンダムSEED(以下、種)へのオマージュとアンチテーゼを感じてしまいます
種の場合、主人公キラが心の弱みに付け込まれ――またキラも目の前で父親を失ったフレイの心の弱みに付け込んで性交渉に及んだ末に、周囲に増長した言動を取るようになり、そんな自分の態度への自己嫌悪が勝ってくるとバッサリとフレイを切り捨てて自分の愚行を必死に振り払おうとするも、結局最後まで彼女への罪悪感を抱え込むことになり、目の前で彼女を失った際には「自分に都合のいい幻影のフレイ」に許しを請うて自己満足に浸るという偽善者振りでした。
一方、ヴァルヴレイヴではハルトがサキを犯してしまった事はある種の「事故」であったし、サキはその事を盾にハルトを脅迫しようだなんてこれっぽっちも思っていないようですし、ハルトはハルトで、自分の意志じゃなかったとしてもやってしまったことの責任は取らなければならないと真剣に考えています。そして父親を目の前で失ったショーコは――多分ですけれども、次回には毅然とした態度をとってくれるのではないかな、と。
種と同じような出来事が起こりつつも、視聴者がキャラクターに対して嫌悪感を抱かないような展開にしたい、という狙いを脚本から感じてしまうのは、私がアンチ種派だからなのかもしれませんがw
さて、とにもかくにも次回で本作へのある程度の評価が固まることになりそうですね。はたして、新生ジオールの面々は生き残ることが出来るのか? エルエルフは、本当にカインに出し抜かれてしまったのか? そして最後のヴァルヴレイヴのパイロットは誰なのか――ってあれは見るからにウィザード=情報戦タイプっぽいのでアキラが乗る事になるんじゃないかと思ってたり。

*1:一号機の利用規約(?)画面にパイロットとなったものは「機関」の命令に絶対服従云々的な事が書いてあったので、例のOSちゃんの仕業であることは確定かと。