たこわさ

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アルスラーン戦記 第二十四章「決戦」感想

今回の満足度:3点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

偽装され隠されていたアルスラーンの本陣を発見し襲撃をかけたエトワールだったが、寡兵による無理な突撃が災いし逆に追い詰められ、撤退を余儀なくされる。彼女の部隊が抜け道から城を打って出ていたのではないかと疑ったナルサスアルフリードに命じその後を追跡させ、狙い通り城への抜け道を発見する。
翌日、夜明けとともにアルフリード率いる決死隊が抜け道より城へ侵入し城門を開く手はずとなった。アルスラーンも自ら手綱を握り、先陣に立って決戦に挑む決意を固める――。

感想

功を焦ったばかりに致命的なミスを犯し、結果として落城のきっかけを作ってしまったエトワール。彼女はある意味ルシタニア側における主役、アルスラーンの対になって成長する役割を担っているのかな、とか勝手に思い込んでいましたが、ここに来るまで碌な事をしていない……というかむしろ誰の得になる事もしていない訳ですね。一応、アルスラーンの価値観を広げる役割を担っているとも取れますが、それはアルスラーンが賢いからであってエトワール自身は聡明で他者に何かしらの示唆を与える人間ではありませんから、彼女を正しく評する言葉は「かませ犬」しかないかもしれません。
エトワールほどではありませんが、ヒルメスにも「理」を感じることは最後までありませんでした。結局のところ彼は自分自身の復讐にしか興味が無く、「正統なる王家の血筋」というお題目も決して正義の為ではない事は、ルシタニアや怪しげな呪術師の力を借り自らが治めるき民と土地を蹂躙し尽くしたところからも明らか。アルスラーンは彼にも一定の大義があるような事を言っていますが……正直理解不能。
バルカシオン伯爵ももう少し聡明な人物かと思っていましたが……考え得る最悪の死に方をしてくれました。城主として自決により責任を取る事自体は「有り」なんでしょうが、少なくともそれは降伏を受け入れた後でするべきことのはず。あんなタイミングで自決されたら、エトワールみたいに血気盛んな将兵は最後まで抵抗してしまうでしょうに。彼は軍人としてではなく、イアルダボード教徒として死んだ、という事なのか。
なんだか、ルシタニア側の将兵に魅力が皆無過ぎて、「戦記」なのにただの「英雄譚」のように感じてしまうんですよね……。正義は圧倒的にアルスラーンにあり、みたいな。
ダリューンヒルメスの戦いがヒルメス優勢に終わってしまったのもちょっと消化不良というかモヤモヤしてしまいました。