アルスラーン戦記 第二十二章「出撃前夜」感想
今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
驚くべき速さで王都エクバターナに迫るアルスラーン軍。6万の軍勢とアルスラーン陣営は触れ回っているが、ルシタニアの将兵はそれを誇張と受け取りせいぜいが3,4万ではないかと考える。しかし、王弟ギスカールに油断はなく、むしろアルスラーン軍の策略を警戒し、10万の軍勢で迎え撃つことを宣言する。10万もの兵を集める労力を惜しむルシタニアの将達はその言葉に難色を示すが、そこに現れたヒルメスがギスカールに賛同した上で自らの配下であるパルス兵3万弱とルシタニア兵7万で自らがアルスラーンを迎え撃つと提案してくる。ヒルメスを全く信用していないギスカールだったが、あえて彼に兵を預けアルスラーン軍の迎撃を命じた。
一方、アルスラーン陣営では来たるべき戦いに向けて着々と準備が進んでいた。アルスラーンもダリューンと剣の鍛錬に励むが、その時、新兵達が自分とダリューンの稽古を興味深そうに観ている様子に気付く。奴隷上がりも多い新兵達にとって武芸の稽古とは縁遠いものだった。それを察したアルスラーンは、彼らに少しでも多く生き延びてほしいという想いから、彼らも稽古に参加させる。当初、アルスラーンは兵達がそれを嫌がるのではないかと考えていたが、以外にも彼らは進んで稽古に打ち込み始める。ナルサス曰く、今まで自分達で何かを決めることなどできなかった元奴隷達にとって、武芸の鍛錬という自分自身の為に何かをするという行いは、自分自身が「何者かになる」ことなのだ、という。ナルサスの言葉を噛み締め、アルスラーンは決戦への決意を新たにする――。