たこわさ

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うしおととら 第伍話「符咒師 鏢」感想

今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

妻子の仇を追って化け物を狩り続ける符咒師・鏢。偶然目にした日本のニュース映像の中に仇の影を見た彼は急きょ香港から日本へとやってくる。彼が目にした映像――そこに映っていたのは先日撮影されたとらの姿だった。
そんな鏢と偶然出会った潮。潮に残っていたとらの妖気を前に問答無用で襲い掛かってくる鏢だったが、潮が「獣の槍」の持ち主である事を知り誤解が解ける。鏢の話では彼の妻子が殺されたのは十五年前との事だが、とらは潮が解放するまで500年間も封印されており、鏢の仇ではありえない。その事を分かっていながらも、自分の命を付け狙うとらに嫌気がさしていた潮は鏢にその事実を伝えず――。

感想

今回初めて、潮達以外に化け物と戦う人間の存在が明示された。否応なく妖怪を引き付ける獣の槍ととらの存在により、潮がこれから足を踏み入れるであろう人外魔境……それを具現化したかのような鏢の激しさが、やがてくる戦いの激しさを予感させてくれる。
鏢については、ある場面では過去の彼と同様にあまりパッとしない容姿に、しかしある所では陰のあるイケメンに、そしてまたある所では化け物を討つために自らも化け物になった狂気に満ちた男、と実に様々な側面を見せてくれた。ある種のダークヒーロー的魅力を持ったキャラクターと言えるだろう。今後の活躍にも期待したい。

さて、潮は実に真っ直ぐな、作中の麻子の言葉を借りると「走り出してから行き先考える奴」という悪く言えばバカ、よくいえば熱血な少年で、だから普段はウジウジ悩んだりはしない。しかしながら、今回は自分の目的の為にとらと鏢の二人を同時に騙して戦わせるという卑怯極まりない行いをしてしまった。
その「潮らしからぬ」行いの理由は、やはり急激に育まれたとらへの「信頼」が「裏切られた」ことだろう。とらは文字通りの化け物で、毎日のように潮を喰らおうと襲い掛かってくるが、それが成功した事はなく、また悪ぶっているけれども最終的には潮に協力して力を合わせ化け物を退治して来た。友達を救ってもらった。極悪な化け物には違いないが、それでもとらが心のどこかに持っている義理と人情を潮は感じてやまなかっただろう。
けれども、今回の潮は思わぬ深手と「しばらく消えない傷」という、とらへの怒りを持続させるある種の燃料を得てしまった。視聴者視点ではいつもと変わらぬ殺伐としながらもほんわかした二人の日常の姿だが、鑑を見れば嫌でも飛び込んでくる、他人に会えば「その傷はどうした」と気にされる、そんな傷跡を抱えてしまった潮の心は普段よりもささくれだっていて、つい魔が差してしまったのだろう。潮は直情馬鹿の割には聡明な少年だが、それでもやはり思春期真っ盛りの不安定な面も抱えている。だから、今回の卑怯な行いもやむなし――と色々と擁護しておかないと不快感漂う程に今回の潮はヘタレだった。

そんなヘタレた潮を叱咤激励したのが麻子で、とらが潮への義理を果たす言い訳――ハンバーガーを与えたのが真由子なのだから、この作品のヒロインズは実にいい仕事をしているな、などと思わされてしまう。