たこわさ

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絶園のテンペスト 第二十幕「フーダニット(誰がやったか)」感想

原作知識は連載を流し読みしてる程度でうろ覚え。
(以下ネタバレ)
不破愛花を殺害した犯人を突き止めるべく、再び過去へ戻る事を決意した葉風。戸惑い、あるいは心配する周囲の人々に対し、葉風はあくまで淡々とした態度を取るが……。
葉風が危険を冒してまで過去に戻り、また「もし不破愛花の死因がどうしようもなくつまらないものだったなら自分が彼女を殺害し、しかるのち真広か吉野に殺される」という、自らの命などはなから勘定に入れていないかのような言動は、全て吉野への愛とそして真広へ返せていなかった「借り」を返すためのもの、だという所がなんとも彼女らしい。世界の命運よりも個人的な義理立てを優先する、それが鎖部葉風という女なのですね(もちろん世界の命運も無関係ではないが)。
しかしそんな中、いつも誰よりも冷静な答えを導き出してきたはずの吉野が、「何か愛花ちゃんを死なせずにすむ方法は無いのか?」と他ならぬ葉風の前で吐露してしまった事が意外と言えば意外。もちろん、愛花の死が彼の中で――それこそ世界の命運よりも――衝撃的な出来事だったという事がそうさせたのでしょうが、恐らくそれだけではなく、一度葉風に「甘えて」しまった事により、吉野は葉風の前でだけは年相応の青年らしい感情や迷いが出るようになってしまった、という事でもあるんでしょうね。
真広に言わせれば「吉野は愛花しか見ていない」し、葉風の心中を知った上で愛花の死の回避を願ってしまったように吉野の中で愛花の存在は葉風よりも上に位置しているのは明白なわけですが、それでも葉風は吉野の中に「自分」を植えつける事に半ば成功しているんですよね。ただ、それは葉風の恋愛の成就の助けにはならず、むしろ「無償の愛」を吉野へ捧げる事の助けにしかならないのが切ないところですが……。
さて、マッサージ器に揺られる葉風の乳をいい表情で眺める潤一郎とか左門さんのまさかのギャグとか息抜き要素を挟みつつも、いよいよ葉風は過去へ。流石に彼女の力を持ってしても、孤島から日本へと辿り着くのは時間がかかったようですが、ギリギリ吉野達の暮らした街へ辿り着き、そして――。
焼き鳥を頬張りながら颯爽と登場した愛花の姿がいろんな意味で衝撃的でしたが、葉風さんは視聴者以上に衝撃を受けたでしょうねw
しかし、それ以上の衝撃が葉風と視聴者を襲う事に。思わぬ出会いに動揺した葉風は、愛花から遠ざかる為にすぐさま魔法でビルの屋上へと身を隠しますが、その背後にはいつの間にか愛花の姿が……。そして――。
CMのネタバレが無ければもう少し衝撃的だったろうなぁ、というのは言わないお約束、でしょうか? 遂に愛花こそが真の「絶園の魔法使い」である事が本人の口から語られました。まあ、散々に吉野や真広に「行動原理」を植えつけてきたあからさまな黒幕感から、予想していた人は多いでしょうが、果たしてここから話はどんな急展開を見せるのか?