たこわさ

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絶園のテンペスト 第二十二幕「不破愛花」感想

原作知識は連載を流し読みしてる程度でうろ覚え。
(以下ネタバレ)
ちょっとだけ原作の話をすると、今回描かれた真広・吉野と愛花とのファーストコンタクトについては、本来真広と愛花、吉野と愛花と別個のエピソードだったはずですが、前回までの流れを考えるとむしろこちらの方がしっくり来るかもしれません。愛花にとって吉野も真広も同じ位特別で大切な人間だったのだな、という事がじんわりと伝わってくるので……。
しかし、愛花の本性を知った後だと、吉野を下の名前で呼んでいた事に気付いて恥らう姿は水爆級の破壊力がありますな……。
さて、現代に戻った葉風は真広と吉野に愛花の死の真相を伝えますが、二人の反応は愛花の言っていた通り実に冷静なものでした。「理屈さえ合っていれば文句は言わない」という人間離れした行動をやってのける二人に、葉風の言葉も届かない。そんな二人の態度に誰よりも苛立ち、らしくもなく大声を張り上げたのはなんと羽村
「たとえ理屈にかなっていても、大切な人を失った事を素直に悲しむべきだし、そんな世界を許してはいけないはずだ!」と叫ぶ羽村。むしろ、言葉よりもあれだけヘタレだった彼が真広と吉野をボコボコにした、という事実の方が衝撃だった気がしますがw それはさておき――。
吉野は既に葉風の胸の中で泣いた事で、「理屈では隠しとおせない悲しみ」を自ら認めていましたが、真広にとってのそれが羽村怒りの一撃だったようで。多分、二人とも一旦自分の中にある激情を認めるという禊を済まさなければ、樹の加護が無くなった世界に生きる自分達の姿さえも描けなかったんじゃなかろうか。そういった意味で、吉野にとっては葉風が、真広にとっては羽村が「第二の生」ともいえる行動力を与えてくれた存在なのではないかと。