マギ 第17夜「笑顔」感想
原作知識は連載流し読み程度。
(以下ネタバレ)
長かったバルバッド編がようやく終了。
身分の格差を壊して同じ地平に立とうとしたアリババと同じ高みにのし上がる事で対等になろうとしたカシム。異なる思想を持った二人が悲しいすれ違いをする事は必然だったのかもしれませんが、最後の最後に「たとえ全ての人々の数だけ『違い』があったとしても、自分達が友達であるという事実に変わりはない」という答えに辿り着いた事はせめてもの救いだったことでしょう。
アリババの提唱した王制から共和制への移行は言ってみれば制度上だけの平等な訳で、カシムのように親に恵まれずしかも妹を護る為にその親を手にかけざるを得なかったような不幸な人間は救えません。もし、そんな人間を事前に救う事が出来るとしたら、それは手を差し伸べてくれる人の存在、即ち人と人の絆こそがより良い道へと人々を導くものだ、というのが今回のお話のテーマなのかもしれません。
とはいえ、多くの悲しいすれ違いにより憎みあいあるいは殺しあってしまったという事実はバルバッド国民の間に厳然として横たわっている訳で。たとえ原因が黒いルフにあったとしても、人々が直接かかわってしまったと言う事実は消えるわけではなく。――しかし、それを救うのが奇跡の担い手たるマギ・アラジンの役割だった訳ですね。
死者は生者に何かを語ることは出来ません。だからこそ人は後悔もするし死者の無念を言い訳にして憎しみの連鎖を広げてしまいさえする。バルバッドで暴動を起こした人々もその多くは大切な人々を理不尽に失った悲しみから道を誤ってしまった訳で。でも、もしそこへ「無念の死」を遂げた筈の人々が笑顔で訪れ、「今、この国が向かおうとしている道行は間違っていないよ」と語りかけてくれたなら……。まさにアラジンの「ソロモンの知恵」はそういった人知を超えた奇跡を起こすものでした。アリババの元を訪れたミリアムがそっと彼に耳打ちしたのは、一体どんな言葉だったのでしょうかね?
そして生身でも十分強いシンドバットさんが遂に金属器を……って一つ使っただけでもありえないくらい強ぇぇえぇ!w 実に素敵なチート振りですな。
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