新型コロナウィルスの影響で公開延期となっていた同作。
2020/8/15に無事に公開となったので、舞台挨拶ライブビューイング付き上映に行ってまいりました。
(以下、ネタバレを含む)
残念ながら、上記理由から「桜の季節」の公開は叶いませんでしたが……本作を観た方々の心には、しっかりと「桜が咲いた」のではないでしょうか?
あえて台詞を排した、原作とは少し異なるあのラストシーンの美しさ――その裏側にある儚さが、強く心に残りました。
相変わらずの変態作画
HFの後半は、名勝負のオンパレード。
士郎vsバーサーカー、ライダーvsセイバー、凛vs桜……。
それらの戦闘シーンが、「ゲームプレイ時に脳内で再生されていたバトルシーン」の二倍くらいのクオリティで描かれました。
特にライダーvsセイバー・オルタ戦の超絶変態作画たるや!
普通だったら「流石にこのポーズはシュールだろう」みたいな動きも、あら不思議、スタイリッシュアクションに早変わりな描き込み&スピード&抜群の構成力。
原作でもベストバウトに挙げるファンがいるくらいのバトルですから、制作側も全てを賭けた感じでしたね。
反面、原作ではモノローグで「解説」が存在する部分についても、ほとんどを作画で表現していたので、初見の方がどのくらい理解できたのかは未知数。
舞台挨拶での監督さんのお話を聞く限り、モノローグを減らしたのは狙ってのものと思われますが……この点は、実際に初見の方に聞かないと分からない、か。
桜の黒さを真正面から描き切った
原作、とりわけPC版からのファンにも、この劇場三部作は大好評です。
けれども、一部には「桜の黒さが足りない」という意見があり……実は私もそのクチでした。
第一章で桜を奇麗に描きすぎたせいか、第二章で描かれた彼女の暗黒面も「不幸な環境のせい」みたいになっていましたが……第三章では、その辺りのイメージをきちんと払しょくしてくれた感があります。
特に、凛との最終決戦の件でしょうか。
凛に「完全敗北」するまでの、彼女の心の動きがですね……黒桜はこうでなくちゃ! という感じ。
決して外的要因ばかりではない、桜本人が持つドロドロっとした部分。翻って見れば、それは桜の本質の一部でもある訳で……。
変に漂白しないで、第三章のここぞという所で描いてくれて溜飲が下がりましたw
本作はハッピーエンドなのですが、それは闇を認め、それと一生付き合っていく道程の始まりでもあるのですよね。
この辺りは士郎を演じた杉山さんが、舞台挨拶でチラッと仰っていましたが……ラストシーンそこはかとなく、切なさというか儚さというか、そういったものが含まれるのはそういう理由だよね、と。
やはり遠坂凛はヒーローだった
凛最大の見せ場であり、結果として桜を救った「最後の大ポカ」。
私はあのシーン大好きなんですが……最高の演出・作画・演技で見事に映像化してくれました。
あ、ダメだこれ
それまでクールぶって来た凛が、最後の最後で一人の少女――桜の姉である自分をどうしようもなく認めてしまって、勝機を逃す。
けれどもそれが結局は、桜が踏みとどまる最後のファクターになった訳で……。
転んでも ただでは起きぬ 遠坂凛
ついて来れるか?
――とまあ、原作をやり込んだ身としては最高オブ最高な作品だったのですが、上記の通りモノローグの類≒解説が減っているので、原作未プレイの方がどの程度ついて来れたのかが、少し気になりました。
- アーチャーの腕の効能
- 宝石剣とはなんぞや?
- 士郎の体から刃が突き出ていた理由
- 言峰強すぎない?
この辺りは、原作で伏線やら解説があって初めて分かってくる要素が多い部分なので、初見の方の感想が気になる所。
また、一番「伝わったかな、これ?」と感じたのは、最終盤で凛と桜がとある「人形」を発見するシーンの意味。
もちろん、「ああ、あれが●●の体になったんだな」ということは誰でも分かると思いますが……あの人形が何を意味するのか示唆しているのが、途中ですれ違った赤髪の女性だけというのが、中々のスパルタ。
「空の境界」を履修済みの方ならば、あの人の登場だけで人形の素性や性能も分かったかと思いますがw
まとまらないけどまとめ
以上、今現在思い出せる気になった点、心に残った点など、取りとめもなく書いてまいりましたが……。
その中でも一番インパクトがあったのが、これ。
本日は暑い中ご鑑賞頂きありがとうございました!
— 中田譲治 (@joujinakata123) August 15, 2020
ようやく待望の春が訪れました🌸
この感動が皆様の胸にも届きますよう。 pic.twitter.com/AtzPSuTrtd
舞台挨拶始まったと思ったら、中田譲治さんがこんな恰好で出てくるんだもん!
もう反則だよ!w
※いつも楽しませてもらって感謝しかありません。
……後はですね、HFは実質「イリヤルート」でもあるので、この第三章で彼女の見せ場を増やしてくるかな? と思っていたんですが……いやはや、予想外の追加要素にやられましたよ。
士郎と別れた後、ああいう再会が待っているって、なんかもう……ずるい。
Zeroのアニメを手掛けたUFOさんだからこそ生きた演出、とも言えるのでしょうね。
UBWだとイリヤ悲惨でしたし……。せめてああいった形で「救い」がないと、ね?