劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅱ.lost butterfly」公開! 怒涛の第二章! PC版リスペクトも!
初日の舞台挨拶付き上映を観てまいりました(中継ですが)。
第一章の時と同じく、監督・キャストさんのトークあり、Aimerさんの生歌ありと、本編に負けぬ濃厚さでした……。
そして映画本編ですが……「なんちゅう! なんちゅうものを作ってくれたんや!」という感じでございました!
いやいや、これはFateアニメ未履修の人も、今からZero→UBWを視聴の上、急いで劇場に駆け込んで欲しいレベルですよ!
(以下、ネタバレ含む本編の感想及び簡単な解説)
コンシューマ版準拠……ではない!
原作PCゲームの「Heaven's Feel(桜ルート。以下、HF)」は、陰惨極まる物語であり、更にはゲーム中屈指のエロさを誇るシナリオでもありました。それも無駄にエログロ要素が入っているのではなく、HFのシナリオそのものがエログロを前提に組まれている、必須の要素として、です、
ですが、コンシューマ版(PS2/Vita)移植にあたって、レーティングの問題からそういったシーンの多くは削られました。
今回の映画パンフレットでの奈須きのこ氏のコメントによれば、HFルート自体をカットすることも考えていたのだとか。
……原作サイドの忸怩たる思いが伝わってきますね。
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さて、本作の監督である須藤友徳氏は熱心な原作ファン――特に桜の熱烈なファンです。
そんな須藤監督ならば「コンシューマ版で削られた要素をある程度汲んでくれるのでは?」等と思っていましたが……蓋を開けてみてびっくり。
「ある程度」どころか、コアの部分をしっかりシナリオに入れ込んできました!
具体的に言うと、
- 桜が士郎に「私、処女じゃないんですよ?」と告白するシーン
- 耐えきれなくなった桜が士郎の体を求め、それに士郎が応じるシーン
という、おおよそ家庭用ゲームでは描けない部分をしっかり入れてきたのです。
これには驚きました。最近じゃビッグタイトルにおける性表現や残虐表現は厳しくなっているというのに……それをあえて「必要だから」という理由で入れてくる。
もうこの時点で、須藤監督とスタッフ、それらを演じてみせる声優さん達への信頼度が限界突破なのですが……もちろん、本作はそれだけのアニメではありません。
超絶戦闘シーンの数々!
今回の主な戦闘シーンは、
- ライダーvsアーチャー
- バーサーカーvsセイバーオルタ
- アーチャーvs真アサシン
数としては少ないのですが……これがまたよく練り込まれ描きこまれた、作画カロリーの高い戦闘シーンでした。
特にセイバーオルタについは「あ、こりゃ勝てないや」という圧倒的火力がやりすぎなまでに描かれていて……今後他媒体でオルタを描く時に苦労しそうなレベル(苦笑
パワー重視・魔力無尽蔵状態のセイバーはあんな人間凶器なんだ……と良い意味でため息が出ました。
あれじゃ、バーサーカーも勝てないわけですよ……「黒い影」という圧倒的ハンデもある中で、それでもイリヤの声に応えて立ち上がり続けるバーサーカーの勇姿に、劇場では鼻をすする音も……。
アーチャーvs真アサシン戦も、尺こそ短いですがアーチャーの特異なあり方が詰まっていて、アーチャーファン必見という感じ。
ライダーに関しては、今回真の力の一端を見せてくれましたが……本当の本気は第三章で解禁となることでしょう。
些細な仕草や表情、息遣いからにじみ出るキャラクターの感情表現が凄い!
第一章の時と同じく、キャラクターの些細な仕草や表情、そして息遣いからその感情を表現する、UFOテーブルお得意の豊かな描写も健在でした。
特に、舞台挨拶の時に慎二役の神谷浩史さんも仰っていたのですが、慎二が……! 慎二がもう!
外道と小物そのものなセリフの数々の向こう側に垣間見える、慎二という可哀想な青年のあれこれが!
原作ファンにはおなじみの、桜を組み伏せた例のシーンで、最後の最後に流す彼の涙と、それとは裏腹な非道過ぎるセリフのギャップがですね……。
慎二を嫌いな方はどうかそのままでいてほしいと思いますが、それでもあのシーンから、決して彼が生粋の悪人などではなかったのだ、と知ってもらいたいと思いますね。
その辺りの素の慎二の姿は、劇場パンフレット特別版付属のCDドラマでも描かれています。購入はお早めに!(ダイマ
後は、アーチャーが消える前の一連のシーンは流石に慣れたもので、「遠坂」という呼び方一つで狂おしいほどのアーチャーの感情を感じてしまったり……イリヤに向ける哀しい瞳に「こっちが泣きそうだよ!」となったり。
この辺りの表現の良さは、UBWを経ていることが大きいですね。
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凛についても、セリフと表情・感情が裏腹なシーンが多かったので、ぜひとも「あ、この時の凛は魔術師としてなのか人間としてなのか、どちらの凛として言ってるんだろう?」という点に着目して観てあげて欲しいと思います。
そして何かと救いのない本作に、一服の清涼感を運んでくれる僕らのタイガーこと藤村大河の優しさに涙!
心が折れそうな桜にかけた優しい言葉が、陰でこっそり聞いてるイリヤの心も救うだなんて……藤村、いい加減にしなくていいぞ!
桜! 桜! 桜! おぞましくも哀しい桜の内面描写がエグい!
奈須きのこ氏の作品で時折見受けられる、「おとぎ話」チックな文章が続いたかと思ったら、実はそれが凄惨な殺人やら何やらの現場を描写したものだった、という例の表現。原作HFにもそういったシーンがありましたが……今回の劇場版では、そのシーンを観客がトラウマになるくらいの美しさで描いてくれましたw
まずは、主題歌「I beg you」のアニメ版ジャケットを御覧ください。
桜がぬいぐるみさん達と楽しく輪になって踊ってますね!
そしてそのうち「くうくうおなかがなりました」となって……。
ぬいぐるみをキャンディに変化させて桜が嬉しそうにそれを頬張り……。
ギルガメッシュの呼びかけで夢から覚めると、そこには……。
いやいやいや。文章だけだと不穏さしか感じなかったあの「おとぎ話」的な語り口に、メルヘンな映像を付けると、より不穏さが増すとは思いませんでした(棒読み)。
下屋則子さんの演技も凄くて、いつもの桜の、儚げで可愛い声のままなのに、その裏側にはドロッとした狂気が渦巻いていると言うか……。もうこれは聞いてもらわないと分からないですねw
その下屋さん、舞台挨拶でのコメントによると、特に苦心したのは「先輩、私、処女じゃないんですよ?」のシーンだったんだとか。
……セリフの時点で難しいですし、しかもあの時の桜の心情とか、一番知られたくない士郎にあえて告げなくてはいけないという流れだとか、そういったものを全て詰め込まないといけないので……。
言葉と言葉に間にある僅かな息遣いであるとか、ほんの少しの言いよどみであるとか、そういった表現が本当に凄かった。
そしてその演技を最大限活かすために描かれた、細やかな桜の表情の数々……。
「どうして桜ばっかりこんな酷い目に!?」という理不尽を、観客が終始感じるような作品でございました。
そしてその一方で、桜が抱える暗部も常に付きまとうという。ただ桜を「可哀想なヒロイン」では終わらせないぞ、という須藤監督の執念のようなものも感じましたw
観客を絶望の淵に落としつつ、最終章は2020年春公開予定!
三部作の真ん中だから仕方ないのですが、今回はまた、エライところで「続く」となります。
原作未プレイの方は、一年かそれ以上クリフハンガー状態となりますので、精神が落ち着いている時にご観賞くださいw
以上、取り急ぎ。
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