デカダンス 第3話「steering」感想――カブラギの特訓を受けるナツメだが……
今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
ナツメはシステムから認識されていない「バグ」だった。
カブラギはその秘密を守りながら、彼女にガドルとの戦い方を教えていく。
そして、あまりにも筋の悪いナツメに悪戦苦闘しつつも、ようやく形になってきた頃、ガドル達が予想外の方法でデカダンスを襲撃し――。
感想
前回で疑問に思った部分が冒頭で早速説明され、制作側の掌の上で踊らされている感覚を覚えてしまった(苦笑)。
環境汚染によって生物の生存に適さなくなってしまった未来。一部の人類は、サイボーグ体へと移行することで生き延びた訳だが……その後の世界があまりにもディストピア過ぎる。
人類が二度と間違いを犯さぬ為に、システムがすべてを決定し、「個人」はそれを実行する為だけの存在と成り果てている。
ここで疑問になってくるのは二点。
何故、システムはわざわざ「デカダンス」という娯楽施設を作ったのか?
サイボーグ達は、どうやってその人口を維持しているのか?
全てをシステムが決定し、それに逆らうものは「バグ」として処理される。
ならば既に「個」が持つ欲求などは不要というか邪魔なもの扱いされるはずだが……サイボーグ達には明らかな個性があり、それに疑問も持っていない。
あまつさえ、「娯楽」という、完璧なシステムの構築にはおおよそ邪魔にしかならないデカダンスという施設まで作られている。
ここに何か矛盾というか、気持ち悪さを感じてしまう。
また、作中では「バグ」として処理されたり活動時間が限界を迎え停止してしまったサイボーグ達が既に登場している。
ならば、サイボーグ達もその総数を増やす手段を持っていないと、遠からず滅びてしまうことになりそうだが、そういった危機感は今のところ作品からは感じられない。
ということは、「増やす」手段があるのか、それとも……。
「処理」されたサイボーグから、コアのようなパーツが回収されている描写があり、「貴重な資源」という言葉も飛び出しているので、この辺りにも隠された秘密がありそうだ。
そもそも、一企業が都合よく世界を支配しているという状況に、何かうすら寒い物を感じてしまう訳だが……。
「ターミネーター」や「マトリックス」の例を出すまでもなく、システムに支配された世界というのは、その時点でどこか歪になっている。そこには何かの欺瞞が隠されているものだが……本作では果たして、どうなのか?
そして……この残酷な世界の真実を知らず、また知ったとしてもひっくり返す手段のないナツメが、気の毒に思えてしまう。
彼女の頑張りは、「ただの娯楽」の中に発生した無駄データのようなものであり、大勢に影響を与えるものではない。
カブラギの心は動かしたようだが……それが何かに繋がるのか、考えれば考える程憂鬱になる。
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