たこわさ

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うしおととら 第拾話「童のいる家」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

雷信達から聞いた秘湯で傷を癒す潮ととらは、そこで真っ白な髪を持つ少女・小夜と出会う。ひょんなことから彼女を自宅に送り届ける事になった潮達だったが、彼女の実家・鷹取家にはある秘密があった。
鷹取家の奥座敷には、「オマモリサマ」と呼ばれる童子が幽閉されていた。「オマモリサマ」こそはその地に「それが棲みつくところ富があり、権勢あり。それ去る家、災いと貧困が訪れる」と伝わる神・座敷童だった。二百年前、強力な結界で座敷童を閉じ込める事に成功した鷹取家はその加護で富を得、栄えつづけていた。鷹取の家の者達がその富をむさぼる一方、小夜やその母のような特別な力を持つ「白い髪の女」達は、代々オマモリサマを慰め話し相手となる役割を負わされていた。
小夜が潮達を家に招いたのもオマモリサマの頼みからだった。オマモリサマは獣の槍を持つ潮と昔馴染みであるとらに結界を壊してほしいと告げる。「そろそろ外に出たい」と語るオマモリサマだったが、その真意は別の所にあった。とらによれば、もし結界を破れば留まっていた周囲の気が一気に押し寄せ、オマモリサマは死んでしまうという。その事を理解した上で、オマモリサマは小夜をお役目から解放する為に結界を破ろうとしていた――。

感想

以前、ブログかTwitterかのどちらかで「私は真由子派」と語った事があったが、実を言うとこの作品の女性キャラで一番好きなのは小夜だったりする。白髪薄幸美少女とか最早世界遺産レベルの至宝ではないだろうか? まあ、それはさておき――。

妖怪が人界に害をなす様、それら妖怪を人自らの手で討つ様、人間の隆盛によって住処を追われていく妖怪の姿……今までのエピソードで語られたそれら人間と妖怪の関係性に、今回は「妖怪を利用して富を得る人間の姿」が追加される形になった。害あるものを排除するのでもなく、無自覚に追い込むでもなく、欲望をもって妖怪を害するというある種の逆転構造が本エピソードの見所。
見た目通りに弱々しかった小夜が自分の意志で道を決めるようになるまでの過程、小夜の為に我が身を捨てようとしていたオマモリサマが小夜の想いを汲んで考えを変えるその瞬間、それらもある種の逆転構造を演出しているように思えた。諦観に溢れ光を失ったかのような小夜の瞳が次第に色を帯び、最後には輝かしく美しいそれになる、という演出は実に好み。
すっかり潮のお人好しがうつってしまったとらの姿もまた逆転構造の一つ。旧知であるオマモリサマが意外に思っていたように、昔のとら――長飛丸はそんなことをする妖怪では無かった様子。長飛丸が残酷で残忍な化け物だったのならば、今のとらとしての彼に起こっている心中の変化は間違いなく潮によるものであり……。名実ともに二人は相棒同士になりつつあるのかもしれない。