たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

響け!ユーフォニアム 第十三回「さよならコンクール」感想

原作未読。
(以下ネタバレ)

あらすじ

コンクール当日。早朝に集合した部員達はある者は緊張を隠せず、ある者は普段通りに振る舞い、そしてまたある者は本番に向けてモチベーションを高めようとしていた。レギュラーになれなかった部員達も楽器運びの手伝いや、手製のお守りをレギュラー陣に配るなど、一体となってコンクールに臨む事に――。

感想

結論:勝因はポニーテール

――とまあ、そんな益体もない感想は置いといて。

久々に髪をポニーテールに結って気合十分! と思いきや見事に財布を忘れるという、あからさまに気負い過ぎな久美子の姿には思わず不穏な空気を感じてしまいます。電車の中で麗奈がじゃれ合いのように肘を突きあったのは、あからさまに緊張している久美子の様子を見て、少し気を遣ったのかもしれません。もちろん、部室で楽譜隠しを配っている最中に目を閉じ深呼吸をしている様子からも、麗奈自身も大きな重圧と緊張を感じている事には違いありませんが。
麗奈が久美子に髪を結ってもらう件も恐らく同様の理由なのでしょう。今までと同じように、二人は背中を押し押されの関係で、麗奈は久美子自身の手で彼女と同じポニーテールを結ってもらう事で気合いをもらい、同時に久美子に気合いを入れたのでしょうね。ただ、同じように気合いを入れ合っても久美子の方がややメンタル的には弱かったようで、本番直前まで気負った状態は続いてしまいました。
そこで最後に久美子の緊張を解いたのが、ずっと微妙な関係が続いてしまっていた秀一だったというのは……ちょっとずるいですね、演出と秀一のあざとさが(笑)。秀一も余裕ぶっているようで「あんなに練習したんだから」の件では自分に言い聞かせているニュアンスがありましたら、恐らく麗奈と同じ意図で久美子に接したのでしょう。ああでも、やっぱり耳元でいきなり囁くのはあざといぞ!*1

さて、ステージに上がった久美子の顔にはもう気負ったそれはなくなっていましたが、ここで意外な人物が意外な表情を見せました。いつも飄々としつつ演奏に対してはクールを通り越して冷徹で弱点なんてなさそうな副部長・あすかが見事なポニーテールを披露……もとい、アンニュイな表情に。元々謎の多い彼女ですが、「終わっちゃうんだね」という言葉には緊張や諦観とは全く違う別の感情が込められているようにしか見えず。結局その正体が明かされぬまま物語は幕を閉じましたが、これは続編への伏線でしょうかね。全国出場が決まった瞬間の寂しそうな表情をみるに……コンクールの結果を問わず彼女は部を去らなければいけない、とかそんな所でしょうか? 原作ではこの先まで描かれているんでしょうか、ネタバレしたいようなしたくないような。

気になると言えば、演奏シーン中に度々挿入された久美子達の中学時代の部活仲間・梓の様子。待機中の緊張感を描くという事なら久美子達の件で散々やっているので、何故あそこで彼女がクローズアップされたのか? こちらも何らかの伏線になっているのでしょうか。


無事全国への切符を手に入れたという展開については、ご都合主義と感じる部分がなくはないのですが、1.それなりに人材が揃っている 2.優れた指導者が存在する 3.しっかりとした努力描写がある 4.浪花節ではなく徹底した実力主義でレギュラーが選定される、という辺りでしっかりと説得力を補強してあるので、実に自然な流れであると思います。あまたある名作スポーツ系作品に共通する事でもありますし。それに、もっと非現実的な展開――例えば弱小部活で才能のある部員もいないのに名指導者と根性根性ど根性な練習の積み重ねだけで全国優勝してしまう――なんて酷いものもありますしね。それと比べたらどれだけ自然で説得力のある展開であるかは言うまでもないでしょう(笑)。

あと、レギュラーに選ばれなかった部員達にもきちんと活躍の場を用意し、仲間達を応援しつつもやっぱりレギュラーになれなかった悔しさなんかもさり気なく表現したりして、実に隙の無い構成でした。何気に人気のある夏紀さんは今回も大活躍でしたね。原作でも同じポジションなのかちょっと気になる所。ビジュアルといい立ち回りといい、何だかスタッフの愛を感じるので優遇されてるのかも、とふと思ったり。

とにもかくにも、演奏シーンの迫力、キャラクターの表情や仕草に対する豊かな表現力、声優陣の熱演、ポニーテール、どれも実に素晴らしかった! 熱血系部活モノとはかくありたいものですね。続編を是非作ってもらいたい所。

いい演奏でした。

*1:いいぞもっとやれ! と訳してもOK。