たこわさ

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銀の匙 Silver Spoon 第3話「八軒、豚丼と出会う」感想

原作既読。
(以下ネタバレ)
八軒がばんえい競馬場で家畜と共に生きる事の意味の一端を垣間見たり、駒場と本気でぶつかり合った結果友情が芽生え始めたり、子豚の「豚丼」と出会ったりするお話。
この物語がテーマとして「当たり前だけど重い話」を取り扱っているのに雰囲気が暗くならないのは、全体的にギャグを強めに描写したノリのよさだけではなく、八軒が「クヨクヨ悩む」タイプではなく「真剣に悩む」し自分の間違いは素直に認めて頭を下げられる人間だから、という所が大きいと思います。今回、駒場の置かれた境遇も知らずに「家業のある奴は安泰でいいよな」みたいな悪態をついてしまった事も、後々まで引きずらずに素直に謝る事が出来ましたが、これって案外簡単な事ではないのですよね。そもそも、今回の場合は駒場の歯に衣着せぬ言動が発端だったわけですし。
それでも自分の非を素直に認めて駒場に謝罪し、なおかつ自分が「意識が高い」とまるで自分と違う高みにいるような捉え方をしてしまっていたエゾノーの同級生達も、それぞれにそれぞれの問題を抱えている、自分と同い年の連中なんだ、という所まで考えを進めてしまうのですから、大したものです。――もっとも、そういった彼の「物事に正面から真摯に立ち向かう」姿勢が、必要以上にプレッシャーを感じてしまう彼自身の性格を形成してしまったきらいはあるのでしょうがw
そして、そういった真面目に取り組む事である程度はどうにかなる人間関係と決定的に立場を異にする存在と八軒は遂に出会ってしまいました。他の兄弟達との生存競争に遅れをとってしまった「負け組」の子豚――豚丼。仲間達が止めるのも聞かずに名付けてしまったその子豚は、八軒の意志とは関係なく三ヵ月後には豚肉になってしまう運命にあります。果たして、八軒はその「どうしようもない事実」を前にどんな答えを出すのか……?