たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

銀の匙 Silver Spoon 秋の巻 第8話「八軒、吼える」感想

原作既読。第一期視聴済み。
(以下ネタバレ)
いつまで経っても登校してこない駒場を皆で心配していたところ、エゾノーに見学に来ていた南九条から衝撃の事実を告げられるお話。

離農――事実上の倒産という、普通の少年にはまず縁のないであろう出来事。しかもそれが本音で語り合う友人である駒場の身の上に起こったという事実に、八軒が戸惑いと苛立ちを隠せないのは止むを得ない事でしょう。私だってもし、高校一年の時に友人の家業が倒産した、なんて話を聞いていたとしても同じような反応をしてしまっていたと思います。
ただ、八軒が凡百の高校一年生と違う所は、それでも一歩踏み込む事を止めない所、表面上の言葉による取り繕いを見抜き、声を上げられる所が、多くの人を引き付けてやまない彼の才能なのでしょうね。
とはいえ、今の八軒には――それどころかエゾノーの誰にも――どうにも出来ない「借金苦」という辛い現実。本当にどうにも出来ない事態です。少年漫画でここまで踏み込んだ「現実」を描いてくるというのは実は凄い事なんじゃないかと。アニメは深夜の大人枠ですけれども、原作の連載誌を考えると。
でも、そんなどうにも出来ない現実を前にしても、自分に出来る事を必死に探し一定の答え、誤魔化しなんかではない本当の気持ちを押し通す事が出来る八軒は、やっぱり本作品の主人公にふさわしい少年――青年なのだな、と。