たこわさ

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「Fairy gone」全体への感想

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先日、録画していたものを全話観終わりましたので、簡単に感想を残しておきたいと思います。
(以下、ネタバレ含む)


さて、P.A.WORKS制作で脚本が十文字青氏ということで、そこそこ以上の期待作だった「Fairy gone」ですが……2クール観終わっての正直な感想は、「凡庸な作品だった」というものでした。

まず、ストーリー面が不味い。
物語全体の魅力はそこそこと言ったところでしたが、群像劇を意識しすぎたのか、各キャラクターの視点や苦悩に寄り添う描写が多く、主人公達の影がいまいち薄い印象を受けました。
しかも、メイン格のキャラクターの誰もが「心に迷い」を抱えていて、逆にサブキャラは覚悟完了していて行動に最後まで迷いがないという構造になっていて、結果としてメインキャラ達の魅力が半減していたように思えます。

せめて、もう主役たるフリーが常にブレず、迷いの中にいるマーリヤを事あるごとに導く役割を担う、という方が感情移入しやすかったのではないでしょうか?
主役二人がいつも迷ったり挫けそうになったりしているので、なんというか、爽快感に欠けました。
マーリヤとフリーのバディ感を演出する為だったのかもしれませんが、マーリヤは基本的にヴェロニカの事が最優先でしたし、フリーは任務第一だしで、バディものとしても中途半端。二人の関係性は、最後までよく分かりませんでした。*1

人間側のラスボスが、ただの勘違いした狂信者と小物という点にもがっくり。
かと言って、レイ・ドーンのように自己完結して過激な行動に出る「正義の味方」が相手でも、それはそれで萎えたのでしょうが……。


また、作画も第一話の時点から不安定で、更にはせっかくの「人間・精霊が入り乱れる戦闘シーン」も、ややスピード感に欠ける上にワンパターンな流れが多く、残念に終わっていた印象が強いです。
「精霊武器」についても、作中では戦術兵器のような扱いを受けていたのに、いまいちその凄さが伝わらず……。

そもそも、銃火器の技術が発達している世界で刀剣による戦いが主軸の一つとして成立している理由もよく分かりませんでした……。
精霊の扱い方を見るに、精霊にフォワードをやらせて人間は銃火器でバックアップに回った方が効率的に思えるのですが(実際、マーリヤはそれに近かったし)。


とまあ、ここまで書いてきて、長所が出てこないのが「Fairy gone」というアニメだったな、という印象。
もちろん、2クールの長丁場を観賞しきれるだけの魅力はあったとも思いますが、では面白かったか? と問われると「う~ん」となってしまう。

料理に例えると、「メインディッシュもデザートも来る前にいつの間にか終わっていたフルコース」という感じでしょうか?
色々と惜しい作品でした。

第1話『灰かぶりの少女』

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*1:作中でお互いがお互いへ抱いている感情は描かれたものの、作品を通してどういった関係性を描きたいのかがよく分からなかった。