たこわさ

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うしおととら 第弐拾話「妖、帰還す」感想

今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

古代中国で遂に白面の者と対峙した潮。獣の槍も持たぬ身で果敢に立ち向かう潮だったが、白面の者の圧倒的な力を前に手も足も出ず、都を蹂躙し尽くし去っていく白面の者をただ見送るしかなかった。
為す術もなく父母を殺されたギリョウは絶望に打ちひしがれ、鍛冶場で自らの拳を潰そうとしていた。それを見た潮は「その手は白面の者を倒す武器を創り出すものだ」と身を挺してギリョウを止める。潮の言葉に少しだけ自分を取り戻したギリョウだったが、彼はただ単に自らの無力を嘆いて拳を潰そうとしていたのではなかった。母の髪の毛を「生贄」に父の剣を鍛えたあの奥義には、実は「その先」があった。髪の毛などではなく、人間一人の命、即ち「人身御供」をもって鉄を鍛え上げるという技が。ギリョウの脳裏からは、その技をもって娘の命を犠牲にした名工の話が焼き付いて離れなかったのだ。
その話をどこから聞いていたのか、気が付くとジエメイが炉の淵に立って穏やかな笑みを浮かべていた。必死に止めようとする潮とギリョウの目の前で、ジエメイはその身を炉の中におどらせ――。

感想

作画や演出が特別優れているという訳ではなかったものの、あまりにも悲しすぎるエピソードそのものと、声優さん達の熱演のお蔭で実に心に残る回となった印象。反面、Bパートは話そのものはしっとりとしていて実に好みだったものの、作画・演出も抑え気味で少々残念な印象。この辺りのフォローは、紫暮さんの若い頃のエピソードをアニメ化する事で果たしてほしい。
潮とジエメイ、ギリョウの不思議な絆が生み出した獣の槍という存在。本来ならば「タイムパラドクス」になりかねない潮の歴史介入が、むしろ必然であり必定だったような印象を受けるのは、潮の母が見たという「我が子の夢」で示されている大きな運命のうねりの存在があるからだろうか。
原作を知っていると、所々でのとらの何気ない一言にニヤリとしてしまうエピソードでもあった。