たこわさ

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うしおととら 第七話「伝承」感想

今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

海座頭の言葉から、死んだと聞かされてきた自分の母親が生きているのではないか、と疑い始めた潮は、父の紫暮にその事を問いただす。だが紫暮は、いつもの飄々とした態度を崩さず、「急用」と称して逃げ出すように外出してしまう。――しかし、紫暮の「急用」という言葉は決して嘘ではなかった。彼は数多の妖怪を祓い退ける光覇明宗の法力僧であり、その日も妖怪を祓いに出向いていた。
仕事を終えた紫暮は光覇明宗の総本山に赴き、息子の潮が獣の槍を引き抜いた事、槍に封じられていた妖怪は「とら」と名付けられ潮に憑りついている事を上の人間に報告する。今まで誰も引き抜けた事のない槍を伝承候補者でもない素人の潮が所持している事に反発が集まるが、紫暮の「自らがその資格を見極め、相応しくないようならば自分が始末をつける」という覚悟をくみ取った「お役目様」は、紫暮に潮ととらの見極めを一任する。しかし、納得のいかない他の僧達は獣の槍を奪い取るべく、潮達に対し密かに刺客を差し向ける。
帰宅した紫暮は潮に旅費を差し出し、母親の事が知りたければ旅に出て自分の目で確かめるよう告げる。その上で自らが妖怪を祓う法力僧である事を明かした紫暮は、何故か「とら」を祓うと宣言し尋常なる勝負を挑む。とらもそれに応じ二人は戦い始めてしまうが――。

感想

渋すぎる男性キャラクターが多い本作において、紫暮は最も渋い「大人の」キャラクターではないかと思う。今回も十分に渋かったが、原作通りなら今後も更に渋みがかった大人の魅力を披露してくれる、はず。渋いだけではなく、上役の僧達に「これから見極める」ようなニュアンスを漂わせておきながら、実際には阿呆の振りをして初めから潮ととらの様子を見守っていたのだから、なんとも食わせ者というか。
いつもは子供っぽさが漂うとらが、食わせ者の紫暮の意図を早くから察していた、という点も面白い。現代の人間社会という異世界で暮らす彼は文字通り右も左も分からない初心者だが、こと妖怪や法力僧との戦いや探り合いになれば、熟練のそれに変貌するというギャップがとらの魅力の一つであると思う。潮の旅に付き合うのも、言葉通りの「憑りついている」から以上に、紫暮からの「潮を託す」という無言のメッセージを受け取った節もある、というのが痺れる。