たこわさ

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アルスラーン戦記 第2話「十四歳、初陣」感想

原作は遥か記憶の彼方……。漫画版は流し読み程度。

(以下ネタバレ)

あらすじ

時は過ぎアルスラーンは14歳になっていた。年相応に成長はしたものの、いまだにヴァフリーズ相手の稽古では一方的に負けてしまい、剣の腕に自信が持てずにいた。
そんな折、ルシタニアがパルスの友好国であるマルヤムを陥落させ、更にパルスへと侵攻しつつある、との報が入る。期せずしてアルスラーンは初陣を迎える事に。
パルスの大軍勢と共に初陣を飾るアルスラーン。だが、雨の気配を感じた彼は不安を隠せなかった。そしてアルスラーンの危惧の通り、戦場は異様な濃霧に覆われてしまう。ますます不安を募らせるアルスラーン達だったが、そんな時ダリューンが王の不興を買い叱責を受けている、という報せが。
ダリューンは異様な濃霧と隣国マルヤムがいとも簡単に落された事からルシタニア側に策がある可能性を案じ、一時戦線を後退させる事を王に具申していた。しかし、自らの武勇に絶対の自信を持つ国王アンドラゴラス三世ダリューンの行動を不敬であるとし、叱責した上で彼の万騎長としての任を解いてしまう。更に食い下がろうとしたダリューンだったが、彼の身を案じたヴァフリーズが機転を利かせその場は事なきを得る。
自らの軍勢に絶対の自信を持つアンドラゴラス三世だったが、事前の偵察にも抜かりはなかった。側近の万騎長カーラーンによるこの先の地形が平坦であり騎馬部隊を阻むものはないという報告に満足した国王は、全軍に突撃を命じる。
しかし、それはルシタニア軍の罠だった。騎馬部隊が突撃したその先に待ち受けていたのは、谷型の地形だった。突撃を止められず谷底に次々と落下していく兵達。しかも、そこにはルシタニアにより撒かれた油が満たされていた。ルシタニアにより投下された松明は、その場を地獄の業火で包み、パルス兵達はその身を焼かれる。その様を前にパルス軍は総崩れとなってしまい、アルスラーンも全ての部下を失ってしまう。
友軍と合流すべく一人戦場を駆けるアルスラーン。途中、敵の騎兵の襲撃を受けるもすんでのところでそれを倒し、ようやくカーラーンの部隊と合流する事に成功する。しかし、アルスラーンカーラーン達の異様な雰囲気に気付いてしまった。そう、カーラーンこそパルス軍を罠にはめた張本人であり、彼はアルスラーンを救出するのではなく抹殺する為に探していたのだ――。


感想

アルスラーンは確かに武勇に恵まれている訳でないようですが、敵の騎兵を一人で撃退するなど個人としての武力が著しく劣っているようには見受けられず、むしろ天候の変化にいち早く危惧を覚えたり、カーラーン達の異変を察知したりと、使い方さえ間違えなければ十分に身を助ける「武器」を既に身に着けているように見受けられますね。
逆に父王アンドラゴラス三世は、武勇こそあれ、基本的に敵軍を見下していたり搦め手の可能性を考慮しなかったり、自軍随一と謳われる武将の進言を不敬と切って捨てたりと、とても全軍の将としての素質があるようには見受けられません。
恐らくアンドラゴラス三世は、今までは自国の豊かさや絶大な軍事力頼りの力押ししかしてこなかったのでしょうね。今風に言えば脳筋だった。今まではそれで通用していたのかもしれませんが、敵軍が大規模になり更に策を巡らせた中でそれが通用しなかったのは必然というものでしょう。
さて、アルスラーンのピンチに颯爽と駆けつけたのはアンドラゴラス三世の不興を買ったダリューンでした。国王から酷い扱いを受けようとも、アルスラーンへの忠義は全く変わらない、国随一の戦士。まさしく国の宝とも呼べる彼を遠ざけようとしたアンドラゴラス三世は、まさに昏君というか暗君というか。田中芳樹先生の某作品から引用するならば

奴は勇者だ。ただし石器時代のな。

といったところでしょうか?