たこわさ

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四月は君の嘘 #03「春の中」感想

原作は読んだり読まなかったり。
(以下ネタバレ)
渡の「代役」として、かをりにカフェへと連れていかれる公生。その店内のピアノで子供達が「きらきら星変奏曲」を弾いている姿を見て、かをりは公生にピアノを弾くよう強要する。仕方なしに子供と一緒にピアノを弾き始める公生の奏でる音色は、片手だけの演奏だというのに店内の誰もが耳を奪われる美しさを持っていた。しかし、演奏の途中で公生を「ある症状」が襲い、彼は演奏を止めてしまう――。

公生が抱える「自分の演奏が全く聞こえなくなってしまう」という致命的な症状、それはもちろんトラウマによるものですが、それ以上に公生自体が理由を探してピアノから逃げ出したい――母親の影から逃れたい――という想いによるところが大きいようで。その公生自身すら認めたがっていない理由を見抜いたかをりは、やはり只者ではない、という言葉で済ませるにはあまりにも公生の事を理解しているので、彼女自身が口にするよりもはるかに公生の事を憧れ以上の眼差しで見ていたのでしょうね。
もっとも、それは公生がかをりに抱く想いとは部分的に重なっても完全には一致しないそれなのでしょうが。その事が、いつか二人を決定的にすれ違わせる事にならないのを祈るばかり。

さて、負けん気の強い破天荒な少女であるかをりですが、公生にだけは度々弱い自分を見せていたりもします。当初は公生という彼女の中で偉大過ぎる存在を前に、どこかで頼っている気持ちがあるのかな、と思っていましたが、どうやらそれだけではないようで。椿と別れた後、一人大学病院のあるバス停で降りる彼女には、どうやら身体的な不安――恐らくは何がしかの重病――が付きまとっているようで。常に全力で生きる彼女の行動原理が、短すぎるその生命に基づいているのだとしたら、何とも悲しい状況ですが……。

四月は君の嘘(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

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