たこわさ

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マギ The kingdom of magic 第6夜「優しい人」感想

原作既読。第一期視聴済み。
(以下ネタバレ)
他人の為に涙を流し、人心を動かしたアリババ。我欲を抑えきれずに他人を傷つけ、相手も自分も涙する結果となった白龍。二人の明暗がはっきりと分かれてしまいました。
もちろん、白龍の境遇には同情すべきところが多くあります。実の母親に兄達を殺され、自分自身も殺されかけ、しかもただ一人残った姉さえも実質人質にとられてしまった彼が、それからの何年間かをどのような気持ちで過ごしたのか、それは想像するのさえ辛い時間だったに違いなく。アリババ達に出会ってようやく光を見つけた彼でしたが、マドーラの術によって否応なく自らの憎悪の源を直視させられ、それも儚い夢のように遠ざかり……。
だから、彼がモルジアナの優しさにすがりせめて彼女だけでも傍に居てほしいと願ったその切なる想いは理解できるのですが――自分の想いを押し付けただけでモルさんの心を直視せず、無理矢理にキスしたその態度はいただけない。というか死ね! そのまま一人で野垂れ死ね!!
――などと憎悪で感想を書き進めてたらルフの暗黒面に取り込まれてしまいそうなので自重するとして。
モルジアナの心も実に複雑でしょうね。彼女にとって仲間というのは実に特別な存在であり、白龍も間違いなくその一人だったはずですが、そんな彼に自分勝手な欲望をぶつけられて、きっとどうすればいいのか彼女にも全く分からなかった事でしょう。だから、理屈では白龍を引き止めなければいけないと理解しつつも、自分が想いを寄せる*1アリババに、今白龍の傍に行って欲しくなかったし、彼に心を向けても欲しくなかった。ただ、自分の傍にいて欲しかった。その一方で、彼女の理性はアラジンを白龍の元へ向かわせる事は止めなかった。
思えば、モルジアナは今までも我侭を言う事はありましたが、それは全て恩人や仲間の役に立ちたい、という利他的な想いからでした。*2しかし、今回彼女は自分自身の為に涙を流し、自分自身の為にアリババに傍にいて欲しい、白龍のところに行かないでほしいと懇願した。今回の事で彼女が負った心の傷が、どれだけ深かったのか分かろうというもの。
白龍がアリババ達と道を違えたこの事実が、今後物語に大きな影を起こすことは想像に難くなく……。
しかし、アリババ君の泣き落としのシーンは見ているこちらも思わずウルッと来そうな雰囲気でしたが、それだけに一期の最後で彼が堕転してしまった事への違和感がバリバリと。まあ、二期は今のところ毎回面白いのでそろそろ一期の悪口を言うのを止めた方が良いのでしょうが(苦笑)。

*1:モルさんはまだアリババへの自分の想いを正しく理解はしていないでしょうが。

*2:故郷を見たい、という想いは我侭とは趣が異なるのでノーカウント。