たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などのレビュー・感想・情報を中心にお送りする雑多ブログ。

Another #1「Rough sketch-素描-」感想

原作は今まさに読んでいる最中。
(以下ネタバレ)
という事で、綾辻行人ファンでありながら原作をアニメ鑑賞と並行して読み進めているという体たらくな訳ですが、それはさておき。
キャラクター原案はいとうのいぢ氏、制作はP.A.WORKSという事でビジュアル面の不安はほぼ皆無じゃないかと思っていましたが、第一話だという事を差し引いても期待通りの作画でございました。
――反面、話の流れやら演出やらちょっとミステリというものを曲解してるんじゃなかろうか? と思わせるような冗長振りが気になりました。雰囲気はそれなりに出ている気もしますが、なんというか「狙いすぎ」なんですよね。
BLOOD-C」の時も思ったのですが、水島努監督のミステリやらスリラー要素って「わざとらしい」し「しつこい」んですよね。段階的にグイグイ引っ張ってくれるのではなく、あからさま過ぎる怪しさをいきなりドーン! と突きつけられてその勢いのまま(緩急無しに)突っ走られてしまうというか。いきなりアクセル全開で視聴者が後ろに転げ落ちているのに車だけ凄い勢いで走っているというか。
綾辻氏を祖とする所謂「新本格」のミステリって、確かに「雰囲気」を凄く大切にはするんですが、いきなり怪しさ全開爆発って訳じゃなく、むしろ最初はコメディタッチだったり青春小説のノリだったりと、ある種「血と肉と狂気」から縁遠い導入だったりする事が多いんですよね。本作の場合も、冒頭の噂話やら転校前に見舞いに来る怪しいクラスメイトやら厨ニ病が如き眼帯少女やら、外連味溢れる演出こそあれ、どちらかというと恒一のセンシティブな内面とか転校早々肺気胸を再発してしまったアンニュイな気分だとか、もう少し等身大な少年の描写から始まっているので、ちょっとしょっぱなから飛ばしすぎだな、と。せめてAパートはもう少し大人しめにして、Bパートでドーン! とやって欲しかったなぁ、と。
ファンの贔屓目もあるかもですが、綾辻氏の作品って、最初に本格ミステリ特有の「わざとらしさ」を滑稽なまでに際立てた世界観――「雰囲気」をかもし出しておいて、そこから先が物凄い変化球の連続で、読んでいる側は「え? 次はどうなるの?」とグイグイと引っ張られて、それでもってタネ明かしの段になって「なんだ拍子抜けなトリック」と読者が油断した所に更に一発二発隠し玉やら消える魔球やらが……という雰囲気とエンターテイメント性とそしてもちろん謎解き要素を兼ね備えたミステリなんですよね。
願わくば、このアニメにも「雰囲気」『だけ』じゃなくてエンターテイメント性*1や視聴者を「気持ちよく騙してくれる」ミステリ性を実現していただきたい所です。

と、ここまでぶち上げておいて原作が駄作だったら恥ずかしいw
Another(下) (角川文庫)

Another(下) (角川文庫)

そして表紙が怖すぎる。

*1:エンターテイメントと言ってもアクションではなく話の魅せ方など。