ちはやふる 第7首「ひとこそみえねあきはきにけり」感想
(以下ネタバレ)
「もし千早の練習相手が自分ではなく新なら――」と思い悩む太一。
「才能」というものは、時にたやすく努力を打ち砕く。かるたにおける反応速度のような、最も重要かつ後から身に付けることが出来ない類の才能を持つ相手に伍するには、一体どうしたらいいのか?
思い悩む太一がもう何か主人公だなぁ、と。
そして今回登場の新キャラクター、机くんもそんな「才能」に打ちのめされた一人。
「人の輪に入っていける」事は一種の才能といえます*1。本当は人の輪に入りたい、友達を作りたい、でも出来ない。そんな事実に直面した机くんが選んだのは「やればやるほど結果が出る」勉強という逃げ道。*2
しかし、「勉強しかない」机くんの前に突きつけられるのは、「自分よりも勉強が出来てしかも容姿や性格に恵まれた」太一という存在。
しかも、そんな「大きな壁」である太一が、自分の出した無理難題である「裏返しかるた」をこなしてしまうというとんでもない屈辱。机くんのプライドはズタズタです。
でも、そんな彼の心を動かしたのは、机くんから見れば完璧でしかないはずの太一が内面に秘めた「悔しさ」と「それに立ち向かう強さ」。自分より恵まれているはずの太一もまた、「才能」というものに打ちのめされていた。でも、決して立ち向かう事を――たとえみっともなくても――止めないその姿勢。
ここで本当に捻くれた、甘えた人間ならば「イケメン天才君が苦悩を気取りやがってムカツク!」とかなりそうな所ですが、机くんはそういう人間ではなく、どうやら他人の真剣な気持ちをきちんと汲み取れる人間のようです。
そして止めの殺し文句。
――でも俺は、仲間にするなら「かるたの天才」より、畳の上で努力し続けられる奴がいい
いやもう、これは机くん、太一になら掘られてもいいとか思ってるよね! ――などと腐った冗談はさておき、太一はこれを、多分計算ではなく素で言ってるんですよね。どこまでイケメンなんだよ! とツッコミつつも、本当に少年漫画の主人公を地で行くようなその熱血振りには賛辞を送らずにはいられない。
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