たこわさ

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Fate/EXTRA Last Encore 10「無限の――― ―アンリミテッド/レイズ・デッド―」感想


今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

リンとラニと別れ、六層へ向かったハクノとセイバーだったが、辿り着いたそこは一面の廃墟であった。
その有り様に戸惑う二人に、五層で別れたはずのリンとラニが襲いかかってくる。「何故?」と思う間もなく、今度は同士討ちを始めるリンとラニ。しかも、リンとラニは無数に湧き出るかのように姿を現し、ハクノとセイバーは撤退を余儀なくされる。

なんとか難を逃れた二人の前に、リンが――五層まで共に旅をしてきた彼女が姿を現す。彼女が口から語られる、リンとラニの真実とは――。

感想

本来のサブタイトルは「無限の残骸 ―アンリミテッド/レイズ・デッド―」だが、公式サイト上では伏せ字が使われていたので、本記事の表記もそれに準じた。


「無限の残骸 ―アンリミテッド/レイズ・デッド―」は、本来はFate/stay nightシリーズに登場するとある英霊の宝具だが、その効果はまさに今回リンとラニが陥っていたような「未来のない繰り返し」を演じ続けるというもの。
詳しくは「Fate/hollow ataraxia」を参照あれ。

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気の遠くなるような時間の間、答えの出ないトライアンドエラーを繰り返してきたリンとラニが、「楽になる」つまりは自分達の消滅、あるいは死を願ったのは無理からぬこと。
そしてそれはシンジを始めとする他のマスターの心の根底にも流れていた感情だろう。
1000年近い時間を閉じた地獄で過ごしたマスター達には、最早未来を求めて立ち上がる気概は無かった。

そこに現れたハクノという、先へ先へと進むことそれ自体が目的のような存在は――喩え彼の先へ進もうという意志が死者たちの妄念に基づくものだとしても――間違いなく救いだったのではないだろうか?

しかし、やはりハクノの言動を観ていると、彼はとても死者の妄念だけから生まれた存在だとは思えない。死者は「未来への希望」を持たない。
どちらかというと、ハクノは死者達が最後まで諦めなかった、その切なる願いから生まれた存在なのではないか……等と思ってしまった。



さて、この続きは7月ということで……なんともモヤモヤさせてくれる。
予告編に登場したのはレオと彼のサーヴァントだが、「最高のマスター」であるレオでさえも1000年の地獄に囚われているとなると、その絶望は他のマスターを凌駕するほどに熟成されてしまっているのではないか、と思ってしまう。


本作は、原典を知っていれば知っているほど、観る者の心を抉る作品だった。
反面、原典を知らない方にとって見れば「よく分からない」代物だったのではないだろうか?
この「分かりやすさ」が正義のような時代に、観る側相当のスパルタを強いる本作を作り上げた製作陣、GOサインを出した誰かに惜しみない拍手を送りつつ、完結編を心待ちにしたいと思う。

予習・復習として原作ゲームのシナリオ集を読み返しておきたい所↓

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