たこわさ

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「スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ」は文字通りの「てんこ盛り」映画だった

スター・ウォーズ/最後のジェダイ  オリジナル・サウンドトラック


遅ればせながら「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」を観てきました。
世間様の評判では「賛否両論真っ二つ」という感じでしたので、戦々恐々としながら観に行きましたが……私は「胸焼けするほどしつこく量が多いけれども、決して嫌いではないメガ盛り飯」という印象を受けました。
(以下ネタバレ含む感想)

視点が多すぎて何が言いたいのかよく分からない脚本

恐らく本作をこき下ろしている方の多くは、「沢山詰め込みすぎててよく分からない」点が不満だったのではないかと思います。

本作はレイ、ポー、フィン、ルーク、レイア(とホルド)、カイロ・レン……と、大まかに分けても6つの視点から物語が語られる構成になっていました。しかもそれがほぼ同時進行で描かれるので、観客としてはどこに軸をおいて観ればいいのか戸惑う場面も多かった(はず)。
旧作は多くても3視点程度でしたから、これは流石に詰め込みすぎだったのではないかな、と。

「群像劇」と言えば聞こえはいいですが、実際にはどのキャラの掘り下げも少々中途半端のまま終わってしまった感があるので、せめてポー・フィン組の視点を一つにまとめるとか、カイロ・レンはもっと何を考えているのか分からない感じにするだとか、シンプルに纏めたほうが良かったのではないか? と思うシーンが多々ありました。

一応、全体を通して「破壊と再生(新生)」のようなテーマが描かれていて、キャラクター達がそれぞれの言動でそのテーマを消化していた感はありましたが……。
あそこから「分かりやすい逆転劇」が全く思い浮かばない点も不満が多い理由ではないかと*1

ルーク……情けないやつ。一方レイアは怪物性を発揮

対照的だったのがルークとレイアの対比。
決してブレない、力強さを保ったままのレイアに対して、ルークは自らの過ちに押しつぶされてすっかりダメおやじでした。
カイロ・レンがグレちゃったのも結局はルークが中途半端に彼と向き合った結果ですしね。ある意味で彼が元凶になってしまったという、旧作ファンには悲しい展開に。

レイアに関しては、まともにフォースの修行もしたこと無いのに宇宙空間から生還するなど人外振りを発揮。愛するソロを失っても決して道を見誤らなかったその強さからも、彼女こそ真の英雄だな、という印象を受けました。

まあ、それも全て、終盤にレイアが諦観に負けそうになり、そこをルークが救うという展開の為に張られた伏線だった、と捉えることも出来るのでしょうが。

今回も顔面偏差値は低め

前作の大きな不満点の一つに「イケメン・美女の圧倒的不足」がありました(個人的にw
今回はその辺りテコ入れしてくるかな? と思っていたらまさかのファニーフェイス増加w
しかも全く嬉しくないカイロ・レンのサービスショットまで……。
エピソード1~3が比較的容姿端麗なキャスティングだった事、エピソード4~6も「濃い」俳優陣を揃えていた事を考えると何とも残念な感じでした。

レイはハンサム・ウーマンで格好良いですけどね。
私的にはキャプテン・ファズマがマスクを外して活躍してくれるのかと期待してましたよw

相変わらず魅力のないカイロ・レン

敵役のカイロ・レンに相変わらず魅力がなかった点も残念な部分でした。
「葛藤する敵役」と言えば聞こえは良いかもしれませんが、レイが一本筋の通った主人公であるのに対し、あまりにも情けないカイロ・レンの噛ませ犬振り……。
レイアを撃てなかったり、スノークを裏切ったまでは良かったもののその後の言動が小物そのものだったり、ルークには一方的に負けてしまったり……。
指揮官としてもハックス将軍よりも無能という事実が露呈。

彼がラスボスだとしたら、エピソード9は色々と大変でしょうねぇ。

所々で噛み合わないキャラクター達の言動

また、脚本が長かったせいもあるのか、所々で話が噛み合っていない部分も。
特に顕著なのは、ホルド提督がポーに逃亡作戦の真の目的を明かさなかった点。あれ、詰問された時点でポーにそれとなく作戦の先の先を匂わせていれば、ポーだって馬鹿じゃないんだから察していたと思うんですよね。
結果としてポーやフィンの行動は作戦の助けになるどころかむしろ犠牲を増やす結果になってしまって、本当に意味不明でした。

レイアやホルドが、ポーの事を指揮官として育てようと考えている、という点はあからさますぎる位に描かれましたが……もうちょっと上手いことやれなかったの? と思わずにいられません(苦笑)。

以上、色々と文句はあれど十分に面白くはあった

本作は欠点が悪目立ちしていて、損をしている作品だな、というのが正直なところ。
私的にはくどいくらいのアクションだとか、予想を裏切る展開の連続だとか、「三部作の二作目」の役割を心得た作品だな、と感心する部分も多かったのですが……欠点部分が目に付きやすいので世間の評価は微妙になるだろうな、と。

あと、先述の通り、今後の着地点が見えにくいのも評価が分かれる原因だったと思います。
ルークは解脱したからまだいいものの、アクバー提督のような名脇役もあっさり退場させてしまって……。
これからどうやって盛り上げるのか予想もつきません(苦笑)。

それでも私が本作をそれほど嫌いになれないのは、やはりエンドロールにおける下記のメッセージを観てしまったからかな、と……。

In Loving Memory of our Princess
CARRIE FISHER

この故キャリー・フィッシャーへのメッセージが、劇中でR2がルークに見せたビデオメッセージの件とあいまって「ずるいよ」となってしまいました……。
改めて、キャリー・フィッシャーさんの安らかな眠りを祈念しつつ、本稿を終わりたいと思います。

*1:未来に希望の種が撒かれた系のエンディングだったので、下手をすると舞台が10年後とかになっていてもおかしくない。