あらすじ
吉良を出し抜きストレイ・キャッツの空気弾を食らわせた早人だったが、運命の悪戯により吉良に致命傷を与える事はかなわず、逆に追い込まれてしまう。勝利を確信した吉良だったが、早人の作戦は実は一つではなかった。不用意に自らの本名「吉良吉影」を名乗ったその時、その場にはいないはずの仗助と億泰が姿を現し――。
感想
早人が相変わらず優秀過ぎる。が、彼の優秀さは小学生離れしたある種の冷徹さに基づくものであり、そういった意味では仗助とは対照的な「主人公」と言えるかもしれない。億泰が早々に死んだと判断し戦術を重視する姿勢然り、仗助の能力を信じて自ら死地に飛び込むという「度胸」という言葉だけでは説明のつかない思い切りの良さ然り。
そして、そういった対照的な「主人公」を前にすると、吉良の小物振りが否応にも引き立ってくる。「小物」と言ってもようは生き汚い、自分が逃げ延びるためには何でもする……というある種の悪役らしさではあるのだが。
一点、この辺りの展開で納得がいかないのは、仗助の悲鳴らしきものを聞いても「気のせい」で済ます承太郎達の態度。もちろん、仗助の普段の行いが悪すぎるというのも手伝っているのだろうが、暗殺向きの吉良の能力を過小評価しすぎていて危機感が足らないのではないだろうか? 等と思ってしまった。