たこわさ

アニメやゲーム、映画・本などの感想を中心にお送りする雑多ブログ。

小鷹がリア充に?「僕は友達が少ない」最終11巻 感想

10巻で「丸々エピローグ」と予告されたこの11巻。前回からかなり間が空いての刊行となりやきもきさせられましたが――結論から言うと待たされただけの内容であり、私的には満足な出来でした。
(以下ネタバレ感想)

幸村の告白の行方

10巻ラストで幸村に告白された小鷹。当然の事ながら自分を取り巻く状況を鑑みて断ろうとしますが、他の面々と異なり虎視眈々と小鷹の事を狙っていた幸村の肉食系男子の如き強引さ、そしてダメ押しとばかりに「(小鷹が)隣人部の誰とも付き合わないというのなら自分は隣人部を辞める」というきっぱりとした態度に負け、結局付き合う事に。

正直、他の部員達が仲間意識を強めていった中で一人だけ恋愛道を邁進していたという幸村の態度には好感が持てませんでした。なので終盤に幸村が隣人部と自分のどちらを選ぶのか? と小鷹の逃げ道を塞いで「不自由な選択」にも似た決断を迫った際に、小鷹が隣人部を優先させたときには「策士策に溺れたな、ざまぁ!」とか実も蓋もない事を思ってしまったのですが、その後の彼もとい彼女の態度からは、彼女自身も色々苦悩していたし、結局のところ自分の想いを突き通すよりも小鷹自身の想いを優先してしまった節があったことも分かり、最終的には悪印象を持たずに見守ることが出来ました。

まあ、一つの目的の為に他をかなぐり捨てて来た人間が全く報われないというのも酷い話なので、最終的に振られてしまったとはいえ、一年間も小鷹の隣をキープし続けられた事はごくごく自然な流れだった、とも思いますし。

小鷹の戦後処理

小鷹がきちんと他のヒロインズとの間に、一応の「決着」をつけた点も好印象でした。幸村という大義名分――「恋人」を理由に、星奈や夜空、ついでに「友達」に固執しながらもやはり小鷹の事が好きだった理科、それぞれとの想いを清算して、結果として隣人部という場を守った事になりました。この点、結果的に幸村が隣人部を守った、とも言えるかもしれませんね、

もちろん、作中で小鷹自身も言っているように安易に「○○ルート」に収束、なんて事はなくて、実際星奈は小鷹の事を諦めないと宣言していますから、今後の可能性を潰すものではなかったのですが……物語としては一応の決着を見せてくれたように思えます。理科については、彼女視点の外伝ではっきりと「のちに親友となる」みたいに明示されているので将来的に小鷹とどうこうなる可能性は低く、夜空に至っては告白するも「恋愛感情を持ったことは一度もない」とばっさりやられているのでもっと可能性は低いですが……それでも、小鷹との関係は大なり小なり変化していく可能性も示唆され、安易な「フラグ管理」で済ませる凡百のラブコメよりもかなり好感の持てる選択だったな、と。

玉虫色になるか粗悪なギャルゲーのように安易に一人に絞るか、そんな出来の悪いラブコメよりは、遥かに。*1 *2

主人公になった夜空+α

10巻の頃からそうでしたが、夜空は文字通り「物語の主人公」となったと思います……作品としての主人公ながらも凡人であり続けた小鷹とは対照的に。コンプレックスを抱いていた姉をある種「支配下に置く」事で乗り越えつつ実質的に和解し、彼女の人生に大きな影を落としてきた母親に対する気持ちを整理し、星奈という唯一無二の悪友を得て、結果的に照れ屋で内気で陰気な彼女は鳴りを潜め、得意の裏方に回りながらも堂々とした生き方を獲得しました。

将来的には影のフィクサーになる事も約束されましたしね(笑

結局、彼女は小鷹への依存を捨て、逆に面倒を見るべき人間が増えた事で、ようやく自立できたんですよね。そして自分が表に出て人を導くよりは、裏方に徹しつつ黒幕として君臨する方が向ているという事を知って――あれ小鷹もしかして本物の魔王を生み出してしまったんじゃ?w

まあ、天馬さんの「養子にならないか」という誘いを毅然として断ったりした所をみるに、彼女は幼い頃に小鷹が憧れた「気高さ」を取り戻したのかもしれませんね。

……対して某肉さんは夜空へのストーカー行為がバレてドン引きされたり衆人環視の中でポロリしてしまったりと散々ですわな(笑)。まあ、今後一番小鷹とどうにかなる可能性をゲットしているし、夜空との友情(?)は今後も続いていくことが示唆されていますので、ある意味のハッピーエンドではあるんですが。遂にシスコンという残念属性も追加されてしまったし、結局、最後まで一番ポンコツでした。まあ、彼女の場合そこが魅力なんですが。

サブキャラクターの見せ場

サブキャラクター達にもきちんと見せ場や未来への可能性を見せてくれたのも実にうれしい配慮でした。小鷹父にガチ惚れしてしまったケイトの恋の行方は何だかちょっと応援したくなりました……というか挿絵のケイトさんがエロ過ぎて薄い本希(ry
初登場時の威厳はどこへやら、終始夜空の愚姉を演じ続けた日向さんはちょっとかわいそうでしたが、実際には夜空の成長において一番大きな役割を担っていましたし、肝心な所ではきちんとお姉ちゃんしていたので、トータルではとんとんか。

葵は終始サポート要員だったのがちょっと気の毒でしたが、小鷹が孤立しなかったのは彼女のお蔭ですし、幸村が積極的な性格になれたのも彼女という友達のお蔭なので、実は縁の下の力持ちでしたね。もう一人の生徒会の人は……ギャグ要因乙。

小鷹父もいい感じで立ち回ってくれました。彼の前でツンデレ化する天馬さんとかリアルでお茶吹いたデス。

大いなる伏線の回収

私的に思わず膝を打ったのが、エピローグ部分。一巻冒頭に綺麗に繋げた手並みは見事の一言。一部では既に看破している方がいたのですが、私はあまり予想していたかったので素直に感心。作中で夜空の髪が段々長くなっていく描写があったのもその伏線だった訳で、10巻が挿絵もない、素っ気ない構成だったのに比べると、今回は挿絵レベルでもきちんと前振りになっていて制作陣がどれだけこの最終巻に力を入れたのかが分かろうというもの。*3

最後に

上記の通り、一定の答えを出しつつも不自然に可能性を消したりしない、非常に良い終わり方だったと感じました。正直、もう少し「がっかり」する結末も覚悟していたのですが、思いの外気持ちよく終わりましたね。幸村派の方はちょっと残念だったかもですが……小鷹の人生はまだ続く訳だから悲観しなくてもいいかもですよ? 小鷹も「ルートなんてもんは存在しない」と明言しているし。夜空派の私が期待する未来も――ちょっとないかもしれない(笑)、可能性を消したりしないと言っておきながらも私自身にはちょっとそのビジョンが見えなかったり。

ただ一言だけ不満を述べるならば……小鷹、結局リア充じゃないですか! と言ったところか(笑)。まあ、彼の場合最後まで人付き合いが下手なままでしたし、トラブルメーカーの星奈と同じ大学に進学なんていう考えようによっては暗い未来が待っているので、卒業までの期間限定ではあるんですが。
それでも、やはりこの言葉で感想を締めようかと思います――「リア充爆発しろ!*4

漫画版を読んでいると少し印象が変わるかもしれませんね。良い意味で。

アニメも良い出来でございました。

残念系隣人部★★☆(星二つ半)

残念系隣人部★★☆(星二つ半)

アニメ一期の主題歌の頃のようなお気楽なノリが好きだった方には、辛い結末だったかも。

*1:玉虫色=全ての可能性を排除しない上にそれぞれに至る確率もほぼ均一な結末、安易に一人に絞る=主人公がフラグをバキバキ折りながらも何の後腐れも生まれず不自然に他の可能性が排除される結末、とご理解ください。

*2:何度も例に挙げてますが、俺妹とか後者の典型だと思います。

*3:自作が「最近のラノベwww」とやり玉に挙げられている事を逆手に取った演出とかメタ発言とか、それなりに面白かった。

*4:結局リア充ってなんなのさ? という当たり前の疑問を提示した作品だった、とも言えるかもしれません、