たこわさ

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アルスラーン戦記 第十九章「冬の終り」感想

今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

アルスラーンペシャワール砦に帰還したその頃、エクバターナではある変化が起こっていた。離反したボダンと聖騎士団に頭を悩ますギスカールが、銀仮面卿ヒルメスにその討伐を依頼していた。ギスカールの自分を遠ざけ消耗させようという魂胆を理解しながらも、軍資金を引き出し、また兵をパルス人で固める為の大義名分を得るためにヒルメスはその申し出を受け入れる。そんなヒルメスの傍らには、サームの姿があった。ヒルメスにその出自を明かされたサームは、近くに仕える事でその器を見極めようとしていた。
ギスカールも驚嘆する程のパルス人兵を集めたヒルメスとサームは、ボダン討伐へと出陣する。その道中、サームは隻眼で大剣を振るうという、恐ろしく強い旅人の噂を聞きつける。それが生き別れた万騎長の一人、クバードではないかと考えたサームはその旅人のもとを訪れるが――。

感想

サームは面従腹背という訳ではありませんが、ヒルメスに対して忠誠を誓いつつもその人となりを探り、裏でアンドラゴラス王からパルス王家にまつわる情報を引き出そうとするなど、正に「その目で見定める」為に行動している様子。ただ、ヒルメスが正当な王家の血筋を持つ傑物であることは確かなものの、自分が王位をとる為に国土と国民を蹂躙している事をサームがどのように考えているのかは、少々量りかねますね。
逆にクバードは単純明快、ヒルメスの見た目や雰囲気か、それとも「パルスの為」と口にしながら国土国民を蹂躙したその矛盾が気に入らなかったのか、早々に見切りをつけた様子。忠誠心が先に立つサームとは正反対ですが、どちらがいいとも言えないですね。クバードが今後アルスラーンに与したとしても、環境が気に入らなければ早々に出て行ってしまいそうですしw
一方、アルスラーンはルシタニア討伐と奴隷解放の布告を。ヒルメスは自分の軍を持ちましたが、この段階では大義名分を持ちパルスの将来をうらなう方針も示して見せたアルスラーンの方が一歩先んじているように見受けられます。ヒルメスには正当な血統という切り札がありますが、アンドラゴラス王の無能のツケを食らわされた国民や奴隷たちがどちらを選ぶのかと言えば……なんだかこの時点でヒルメスに勝ち目は無いような。