Fate/Apocrypha 第18話「フロム・ヘル」感想
基本的に原作バレ無し。シリーズ知識の解説のみ書く方針。
今回の満足度:4点(5点満点中)
(以下ネタバレ)
あらすじ
赤のアーチャー・アタランテによって黒のアサシンのマスターは殺害。黒のアサシン自身も深手を負ったかに見えたが、その時アサシンの身体が霧へと変化し、アタランテを、ジークを、そしてジャンヌを包み込んでいく。
霧の中は「切り裂きジャック」が暗躍したロンドンの町並みそのものであった。
ジーク達はそこで、黒のアサシンの正体が「切り裂きジャック」の伝説に組み込まれた「世間から見捨てられた子供達」である事を知る。
人間の最も醜い部分の一つを見せられたジークは苦悩し、また「全ての子供達を救う」という願いを持つアタランテは既に死霊であるその子供達をも救いたいと思わずにはいられない。
しかしジャンヌは情に流されるのではなく、自らの信じる正義に基づいて黒のアサシンを倒す事を決意し――。
感想
サブタイトルの「フロム・ヘル」は、切り裂きジャックを題材にしたグラフィックノベル及びそれを原作とした映画(ジョニー・デップ主演)からの着想だろう。
念の為言っておくと、同作と今回のエピソードには直接的に共通するのは「切り裂きジャック」という史実のみであり、内容が被っている訳でないので、「パクリ」などとは言わないように(苦笑)。*1
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アタランテの回想(?)で、まさかのメディア(stay nightのキャスター)登場に色めき立った方も少なくないのではないだろうか? しかも若き日の姿(Fateでは俗にリリィと呼ばれる姿)での登場とは予想外。
アルゴー船はギリシャ神話版FGO*2みたいなものなので(笑)、いつか掘り下げてもらいたい題材の一つ。
今回、アタランテが何故ジャック達をあれほど必死に救おうとしていたのか、アタランテ自身の伝説を知らない方には腑に落ちない部分があったかもしれない。
細かい経緯は省くが、アタランテ自身もかつては親に見捨てられた子供であった。その為に、英霊として彼女が聖杯にかける願いは「全ての子供達を救う」というものな訳だ。
既に本作の中でも語られているが、Fate世界のサーヴァントは英霊本人であって本人ではない。本人のある側面を具現化した存在である。
アタランテの場合、狩人としての彼女と「捨てられた子供」の側面が強く浮き出た状態で召喚された、と解釈できるだろうか。
彼女がある種正気を失いかけるほどに動揺していたのは、「子供達を救う」事が英霊としての彼女の存在意義であるから……と捉えれば理解しやすいだろう。
また、ジャンヌについても生前の激しい正義を持つ彼女とはまた違った存在である、と見る事が出来るようにも思える。
ルーラーとして召喚されたからか、彼女は自らの信念を貫くことは止めないが、同時に「正義」という言葉の持つ二面性もよく理解している。
だが、それを理解した上でやはり生前と同じく自らの正義を貫く事を厭わない訳であり、そこが「本人であって本人でない」サーヴァントたるゆえんなのだろう、と思う。