たこわさ

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鬼平 第九話「わかれ道」感想

アニメ「鬼平」原作 鬼平犯科帳セレクション【文春e-Books】
今回の満足度:5点(5点満点中)
(以下ネタバレ)

あらすじ

若き日の平蔵こと銕三郎は荒れていた。妾の子という出自から父の正妻に疎まれ世を拗ね、酒と女と憂さ晴らしの剣術だけが全てとなっていた。
そんなある日、銕三郎達の通う道場に一人の道場破りが現れる。師匠も一目置くその剣客・松岡の強さに、当初は負けん気で立ち向かうだけだった銕三郎だが、次第にその腕前に惚れ込み「先生」と慕うようになる。銕三郎の腕前を認めつつも、世を拗ねる彼の姿に危惧を覚える松岡は、銕三郎にある言葉を送る。その言葉は、文字通り銕三郎の人生の岐点になるもので――。

感想

実際に道を誤り、抜け出せなくなった松岡だからこそ言えた「一線」という言葉。まさか今回のエピソードに対して、「罪人が偉そうに」等と的はずれな感想を述べた人間はいないだろう。
罪を犯した人間だからこそ、二度とまともな道に戻れぬ――そしてそのことを死ぬまで公開し続ける人間だからこそ、言えることがある。
下手な死に別れの話よりも、よほど心に突き刺さる何とも味わい深いエピソードだった。

――なお、余談になってしまうが、一節によれば江戸時代でも今回のように木刀でガチに打ち合う稽古よりは、竹刀(及びその原型)による打ち合いの方が多かった、とのこと。木刀は型稽古や素振りに使われたのでないか、とのこと。江戸も後期になれば防具も発明されたので、時代劇などで防具無しで木刀で打ち合っている稽古風景は、少々脚色が過ぎるのかもしれない(もちろん諸説ある)。